PCIについて解説します。
PCI(冠動脈インターベンション)とは

PCIはpercutaneous coronary interventionの略で、 percutaneous:経皮的
coronary:冠動脈
intervention:インターベンション を意味します。 経皮的とは:切ったりせず、皮膚を通して
冠動脈とは:心臓の周りのある心臓に血液を送る血管
インターベンションとは:病変部に介入して、治療すること を表します。
昔の名称 PTCA:percutaneous transluminal coronary angioplasty 経皮的冠動脈形成術 と記載されていることがあります。
冠動脈について

左冠動脈 – LCA
→冠動脈分類について
虚血性心疾患(Ischemic Heart Disease:IHD)
動脈硬化や血栓などで心臓の血管が狭くなり、血液の流れが悪くなると、心臓の筋肉に必要な酸素や栄養がいきわたりにくくなります。急に激しい運動をしたり、強いストレスがかかると、心臓の筋肉は一時的に血液(酸素、栄養)不足となり主に前胸部、時に左腕や背中に痛み、圧迫感を生じます。
これを虚血性心疾患といいます。
虚血性心疾患の分類
慢性冠症候群と急性冠症候群に分類されます。慢性冠症候群 有意狭窄があり:冠動脈硬化症
有意狭窄が無い:冠攣縮性狭心症
急性冠症候群は、心筋逸脱酵素の上昇の有無により、不安定狭心症と急性心筋梗塞に分類されます。
虚血性心疾患 IHD | 慢性冠症候群 CCS | 冠動脈硬化症 Obstructive CAD |
冠攣縮性狭心症 INOCA | ||
急性冠症候群 ACS | 不安定狭心症 UA | |
心筋梗塞 STEMI NSTEMI |
虚血性心疾患の治療
・PMT:薬物療法(optimal medical treatment)・PCI:経皮的冠動脈インターベーション
・CABG:冠動脈バイパス術
狭心症・心筋梗塞
安定狭心症:ステーブルエーピー(Stable AP:AP)不安定狭心症:ユーエーピー(UnStable AP:UAP) 急性心筋梗塞:エーエムアイ(Acute Myocardial Infarction:AMI)
亜急性心筋梗塞:リーセントエムアイ(Recent Myocardial Infarction:RMI)
陳旧性心筋梗塞:オーエムアイ(old myocardial infarction:OMI)
PCI適応疾患

心筋梗塞(myocardial infarction: MI)などの 虚血性心疾患
検査
心臓カテーテル検査とは?
カテーテルを心臓まで挿入し、心臓の心機能測定や血管造影などを行う検査です。・右心カテーテル検査 SG
・左心カテーテル検査 CAG
右心カテーテル法 心機能評価 静脈経由 | 左心カテーテル法 形態・運動機能評価 動脈経由 |
①心内圧測定 ②心拍出量の測定 ③各部位の採血と 酸素飽和度の測定 ④血管造影 (肺動脈造影) | ①心血管造影検査 ・冠動脈造影 ・左心室造影 ・大動脈造影 ②生検検査 |
FFR/iFR
冠動脈造影(CAG)
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冠動脈狭窄
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右心カテーテル検査
スワンガンツカテーテル
右心カテーテル検査について
PCIの概要
PCIとはPercutaneous(経皮的) : 皮膚を通して処置を行う
coronary(冠動脈) : 冠動脈が治療の対象になる
Intervention(インターベンション): カテーテルを用いて狭窄、閉塞部分を広げる

PCIの手順
経動脈への6~7Frシースの挿入ガイディングカテーテル(GC)の挿入
冠動脈造影: 病変が良く見えるような複数の角度
ガイドワイヤー(GW)の挿入し病変を通過させる
血管内イメージング: IVUSやOCT/OFDIで対象病変の情報を得る
病変拡張: バルーン拡張やステント(stent)留置
血管内イメージングでendpoint判定
GW GC シース抜去と止血 →PCIの手技手順
シースの挿入
シース
シースの挿入
ガイディングカテーテル
GC(ガイディングカテーテル) カテーテル
ガイドワイヤー
GW(ガイドワイヤー)
マイクロカテーテル
カラベル
コルセア
→マイクロカテーテルについて
貫通カテーテル
Corsairコルセア
吸引カテーテル
Thrombuster PRO→吸引カテーテルについて
カテーテル交換用カテーテル
カネカエクスチェンジデバイス KUSABI →交換用カテーテルアプローチ部位(穿刺部位)
橈骨動脈上腕動脈
大腿動脈
→穿刺部位について
造影カテーテル
JLJR
Pigカテーテル
血栓捕捉カテーテル
FILTRAP II →血栓捕捉カテーテルについて病変拡張のデバイス
バルーン(balloon)スコアリング(Scoring balloon)
薬剤コーティングバルーン
薬剤溶出性ステント(DES: drug-eluting stent)
Debulking (Rotablator、Diamondback)
マイクロカテーテル
血栓吸引カテーテル
Perfusionバルーン
バルーン(balloon)

バルーン拡張して、動脈硬化プラークを押しのけます。
バルーンの拡張は、インデフレータによって行います。
通常は、造影剤と生食を半々、1対1にしたものを20ccほど吸い、バルーンの中に、バルーンルーメン から半々の造影剤を注入して、圧を上げます。
バルーン径は1mmから冠動脈径に合わせて5mmまで、0.5mm刻みぐらいあり、
⻑さは、6mmから一番⻑いのは40mmまであります。
気圧は、6気圧ぐらいから20気圧まで変えて、その径や⻑さなどをIVUSで見た情報を元に、病変を広げていくということになります。
バルーンを広げている間は、冠動脈の血流が遮られますので、患者さんは胸痛を感じ、心電図のST変化が起こるのが通常の工程であります。
その程度に応じて、術者は拡張時間を変えて、すぐにデフレートを何回か行います。 →バルーンについて
スコアリング(Scoring balloon)
バルーン拡張時のslip防止と拡張力増強を目的として、金属ブレードや ワイヤーなどで加工したバルーン スコアリングバルーンの特徴拡張時に、そのスリップを防止する金属のブレードや、ワイヤーなどが加工してある。
ワイヤーがバルーンに120度ずつ張りついていて、 それがバルーン拡張とともに、血管内の動脈硬化層に⻲裂を生じさせ、突出してくるというのが特徴です。
ブレードが当たったところのプラークに切れ込みができます。
DCB(drug-coated balloon)
DCB薬剤塗布バルーン(薬剤溶出性バルーン):SeQuent Please

→DCBについて
ステント
BMS:ベアメタルステント(金属ステント)DES:薬剤溶出ステント

→ステントについて
特殊バルーン
DCB薬剤塗布バルーン(薬剤溶出性バルーン):SeQuent Pleaseカッティングバルーン
スコアリングバルーン
パーフュージョンバルーン
→特殊バルーンについて
アテレクトミーカテーテル
ロータブレータDIAMONDBACK
DCA方向性冠動脈粥種切除術
エキシマレーザー冠動脈形成術
→ELCA(エキシマレーザー冠動脈形成術)について
→ダイアモンドバックについて
→DCAについて
イメージングデバイス
IVUS
IVUS①機械走査型
②電子スキャン型
OCT/OFDI
→OCTについて造影剤
イオパミロン 造影剤腎症
止血デバイス
Angio-Seal
エクソシール
略語
用語
補助循環装置
・IABP・PCPS
IABP:Intra Aortic Balloon Pumping 大動脈内バルーンパンピング
IABP:Intra Aortic Balloon Pumping ⇒ IABP 大動脈内バルーンパンピング下行大動脈内に挿入したバルーンカテーテルを心臓の拍動に合わせて拡張・収縮させることで心臓の補助を行う補助循環装置
重症心不全や心原性ショックに適応
IABPの動作原理
心臓の動きに同期してバルーンを拡張・収縮同期の方法は心電図同期と動脈圧同期
拡張期にはバルーンを拡張、収縮期にはバルーンを
収縮させる
バルーンの拡張・収縮にはヘリウムガスを使用 IABP
PCPS
ECMOとは?Extracorporeal Membranous Oxygenation ECMO
体外式膜型人工肺
人工肺とポンプを用いて体外循環回路による
治療を行う装置
循環補助、呼吸補助を短時間で行うことが可能
心停止、心原性ショック、呼吸不全などに適応

→PCPSについて
単位
Fr、G CK たこつぼ型心筋症 検査項目 再灌流障害
ACTについて!
分岐病変のステント留置方法
T-stent
Crush
Culotte
→複雑病変のステント留置方法について
カテ室で使用する薬
キシロカインニトロール
ヘパリン
プロポフォール
PCIの適応
・冠動脈90%以上の狭窄・冠動脈狭窄率が75%以上の場合、心筋虚血評価でポジティブの場合
TIMI 分類
TIMI = Thrombolysisi in Myocardial Infarction Trial Grade 0 ; 完全閉塞で順行性血流を認めない全く病変部より末梢が造影されない
Grade 1 ; 明らかな造影遅延があり、末梢まで造影されない
わずかに冠動脈は造影される程度
Grade 2 ; 造影遅延を認めるが、末梢まで造影される
冠動脈は末梢まで造影されるが
造影剤が冠動脈内にたまってしまう
Grade 3 ; 末梢まで正常に造影される
全く正常の冠動脈血流 Collateral (側副血行路)
Grade 0 ; なし
Grade 1 ; かろうじてある程度、本幹が造影される
Grade 2 ; 部分的に本幹が造影される
Grade 3 : 本幹が十分に造影される 急性心筋梗塞の場合、TIMI分類でいうと TIMI grade 0
治療目標は、TIMI Grade 3
PCIの歴史
1964 Dotter末梢の動脈病変に対してカテーテル治療を行う
1977 Gruzing スイスの医師グルンチッヒ(Dr. Andreas R.Gruzig )
経皮的冠動脈狭窄拡張に成功
1978 Myler, Stertzer
アメリカでPTCAを開始
1979 内田(東大)
日本でPTCAを開始
DAPT
抗血小板薬 バイアスピリンプラピックス(クロピドグレル)
エフィエント(プラスグレル)
プレタール(シロスタゾール)
タケルダ
抗凝固薬
ワーファリンリクシアナ
イグザレルト
エリキュース
プラザキサ(ダビガトラン)
末梢動脈疾患(Peripheral Artery Disease:PAD)
末梢動脈疾患(PAD)とは冠動脈、脳血管疾患以外の動脈硬化性疾患の総称 腎動脈狭窄症
頸動脈狭窄症
鎖骨下動脈狭窄症
下肢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)
https://ceme.me/pci/peripheral/
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これから始めるPCI 改訂第2版参考
https://www.kango-roo.com/learning/7342/http://急性心筋梗塞.com/pci/
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