右心カテーテル検査とは|目的・測定項目(圧・心拍出量・SvO₂)・正常値をわかりやすく解説

右心カテーテル検査 圧波形の道すじ PCI
スポンサーリンク
右心カテーテル検査は、首や足の付け根の静脈から肺動脈カテーテル(スワンガンツカテーテル)を入れ、右心房→右心室→肺動脈と進めながら、各部屋の圧・心拍出量(CO)・混合静脈血酸素飽和度(SvO₂)を測る検査です。とくに心不全の重症度や、うっ血・ポンプ機能の評価に使われ、フォレスター分類による治療方針の決定につながります。臨床工学技士(CE)は、ポリグラフの操作・波形の記録・熱希釈法での心拍出量測定などで関わります。

早見表(このページの要点)

通り道右心房(RA)→右心室(RV)→肺動脈(PA)→楔入(PCWP)。首や鼠径の静脈から肺動脈カテーテル
正常圧(mmHg)RA 平均 2〜8/RV 15〜30 / 2〜8/PA 15〜30 / 8〜15/PCWP 6〜12
RVとPAの見分け拡張期の圧で見る。RVは0近くまで下がる/PAは拡張期が下がりきらない
うっ血の指標PCWP 18 mmHg以上
ポンプ機能の指標CI 2.2 L/min/m²未満で低下 → フォレスター分類
心拍出量CO=SV×HR。CI=CO÷BSA(L/min/m²)
COの測り方熱希釈法(スワンガンツ)/Fick法(酸素消費量と動静脈酸素較差)
CEの関わりポリグラフ操作・波形の記録・熱希釈でのCO測定・シャント率の演算
カテーテルを 右心房→右心室→肺動脈→楔入 と進めながら、各部位の圧を測る 0102030mmHg 右心房(RA)右心室(RV)肺動脈(PA)肺動脈楔入(PCWP) 平均 2〜815〜30 / 2〜815〜30 / 8〜156〜12(>18でうっ血) 低い・小さな波拡張期は0近くまで下がる拡張期が下がりきらない左房圧を反映・低い
図:右心カテーテルの通り道と各部位の圧波形(正常値・mmHg)。右室と肺動脈は「拡張期の圧」で見分ける。

右心カテーテル検査とは

右心カテーテルでわかること

右心系の心内圧測定
心拍出量測定
血液ガス分析

スワンガンツカテーテル

スワンガンツカテーテル|右心カテーテル検査
スワンガンツカテーテル|右心カテーテル検査
スワンガンツについて
心拍出量(CO)

心拍出量は、心臓のポンプ機能を表わす指標です。左心室(LV)から1分間に拍出される血液量のことをいいます。
心拍出量(CO)=1回拍出量(SV)×心拍数(HR)

心係数(CI)

肺動脈楔入圧はうっ血の指標であり、心係数はポンプ機能の指標ととらえられ、その病型に基づいた治療法の決定が可能となります。
心係数(CI)(L/分/m2)=心拍出量(CO)(L/分)÷体表面積(BSA)(m2)
forrester分類
a href=
各部位の正常圧やPCWPの詳しいしくみは、スワンガンツカテーテルと肺動脈楔入圧(PCWP)とはのページで図解しています。
参考:日本循環器学会/日本心不全学会「2025年改訂版 心不全診療ガイドライン|右心カテーテル検査(47頁)」。

心不全患者の病態評価

うっ血の指標 肺動脈楔入圧の上昇(18mmHg以上)
心拍出低下の指標 心係数の低下(2.2L/min/m^2)
(ポンプ機能障害)

検査の流れ

右心カテーテル検査は、静脈からシースを入れ、バルーン付きの肺動脈カテーテル(スワンガンツカテーテル)を血流に乗せて進めます。CEはポリグラフ側で、圧のゼロ点・波形・心拍出量の測定を担当します。

1. 準備(ポリグラフ側)

トランスデューサの高さを右房の高さ(中腋窩線)に合わせてゼロ点を取る。
熱希釈用の注入液(通常10mL、冷却または室温)と、カテーテルのバルーン(約1.5mL)・ルーメンの確認。
記録の準備(各部位の圧・心拍出量・採血の順番を決めておく)。

2. 穿刺・挿入

穿刺部位は内頸静脈(右が多い)、大腿静脈、肘静脈。シースを留置してカテーテルを入れる。
バルーンを膨らませて血流に乗せ、右心房 → 右心室 → 肺動脈 → 楔入と進める。位置は透視と圧波形の形で確認する。

3. 圧の記録

各部位で圧を記録する。読むのは呼気終末(胸腔内圧の影響が最小になる)。
楔入(PCWP)はバルーンを膨らませたときだけ。楔入は短時間にとどめ、測り終えたらバルーンを収縮させて肺動脈波形に戻す。

4. 心拍出量

熱希釈法:呼気終末に素早く一定量を注入し、通常3回測って平均する。ばらつきが大きい(±10%程度を超える)ときは測り直す。三尖弁逆流やシャントがあると不正確になる。
Fick法:酸素消費量と動静脈酸素含量較差から求める。シャントがある症例ではこちらを使う。

5. 採血

肺動脈血でSvO₂。先天性心疾患などでシャントを疑うときは、上大静脈・右房・右室・肺動脈で酸素飽和度を測り、段階的な上昇(step-up)があるかを見る。

6. 抜去

バルーンを必ず収縮させてから抜く。抜去後は穿刺部の止血と観察。

波形の見かた

部位波形の特徴
右心房(RA)低い波。a波(心房収縮)・c波・v波(心房充満)と x谷・y谷
右心室(RV)収縮期に急峻に立ち上がり、拡張期は0近くまで下がる
肺動脈(PA)収縮期圧はRVとほぼ同じだが、拡張期が下がりきらない。dicrotic notch がある
肺動脈楔入圧(PCWP)左房圧を反映した低い波。a波・v波。大きなv波は僧帽弁逆流などを疑う
右室から肺動脈に入ったかどうかは、拡張期の圧が上がった(0近くまで下がらなくなった)ことで見分ける。収縮期圧だけ見ていると区別がつかない。

正常値と評価の目安

項目正常の目安
右房圧(平均)2〜8 mmHg
右室圧15〜30 / 2〜8 mmHg
肺動脈圧15〜30 / 8〜15 mmHg
肺動脈楔入圧(PCWP)6〜12 mmHg(18 mmHg以上でうっ血)
心拍出量(CO)4〜8 L/min
心係数(CI)2.5〜4.0 L/min/m²(2.2未満で低下)
混合静脈血酸素飽和度(SvO₂)60〜80%
肺血管抵抗(PVR)(mPAP − PCWP)÷ CO。2 Wood単位以下
肺高血圧の定義(2022年 ESC/ERS):安静時の平均肺動脈圧 > 20 mmHg。
前毛細血管性:PCWP ≦ 15 mmHg かつ PVR > 2 Wood単位/後毛細血管性:PCWP > 15 mmHg。
以前の定義(mPAP ≧ 25、PVR > 3)から下がっているので、古い資料と数字が違うことがある。

合併症

不整脈:右室を通過するときの心室性期外収縮・心室頻拍。右脚ブロックを起こすことがあり、もともと左脚ブロックがある患者では完全房室ブロックに注意。
肺動脈損傷・破裂:バルーンの過膨張、長時間の楔入、カテーテルが末梢に入りすぎたとき。楔入は短く、バルーンは楔入時だけ。
肺梗塞:バルーンを膨らませたまま放置したとき。
穿刺に伴う気胸・動脈穿刺・血腫、感染、血栓、バルーン破裂、カテーテルの結節。

保険点数(令和8年度)

D206 心臓カテーテル法による諸検査 右心カテーテル 3,600点(左心カテーテル 4,000点)。
新生児は右心 10,800点、3歳未満の乳幼児は右心 3,600点の加算。心腔内超音波検査加算 400点など、行った検査に応じて加算がある。

ポリグラフ

ポリグラフ|右心カテーテル検査
• 心電図・血圧・酸素飽和度等、複数の生体情報を 同時に記録・観察出来る装置。
• モニターとの違いは解析が出来ること。

ポリグラフで測定・解析が出来るもの


• 圧解析 (動脈圧、心房圧、心室圧)
• 弁の評価 (大動脈弁や僧帽弁など)
ポリグラフで測定・解析が出来るもの|右心カテーテル検査
• 心拍出量の測定(演算)

Fick法

酸素の消費量と動静脈の酸素較差から心拍出量を求める方法です。→ フィック法とは でしくみを図解しています。
Fick法|右心カテーテル検査

熱希釈

熱希釈|右心カテーテル検査
• シャント率の演算 (心房中隔欠損、心室中隔欠損など)
熱希釈|右心カテーテル検査


心筋生検(endomyocardial biopsy:バイオプシー)

参考


スワンガンツ
https://www.edwards.com/jp/professionals/products/swanganz-thermodilution

関連記事


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
PCIトップページ
MEトップページ

コメント

タイトルとURLをコピーしました