透視装置、放射線の影響、造影剤

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透視装置、放射線の影響、造影剤について

透視装置

シングルプレーンとバイプレーン
シングルプレーン:Cアームが1つだけのもの
バイププレーン:Cアームが2つあるもの

1回の撮影で同時に2方向撮影 造影剤使用量の削減、手技時間の短縮

放射線の人体への影響

放射線被ばく線量と確定的影響(組織反応)の発生率
放射線被ばく線量と確率的影響の発生率 冠動脈造影やその他の心血管カテーテル検査・治療では、放射線による被ばくを少なからず受けます。 このような診療に伴う放射線被ばくの人体への影響は、線量の大きさの違い,全身被ばく・局所被ばくなどの被ばく形態の違い、影響の発現の仕方の違いなどにより区分されます。
発現の仕方では、身体的影響と遺伝的影響、確定的影響・組織反応と確率的影響に区分されます。

確定的影響:
組織や臓器の一定量以上の細胞集団が放射線被ばくにより損傷を受け、組織の機能を維持できない状態となり、症状を認めることです。
この症状を認める最小線量が「しきい(閾)線量」であり、しきい線量以上では,線量の増加に伴い影響の発生率が急激に高くなります。

確率的影響:
放射線の影響を受けた細胞が死滅せずに修復される過程で徐々に多くの細胞が悪性化し、癌や白血病などが発生することです。
線量が低くても損傷細胞は生じるため、確率的影響にしきい線量はなく、線量の増加により重篤度は変わらずに発生率が上昇します。

放射線防護(放射線防護の3原則)

「距離」 放射線の発生源からできるだけ離れる
「時間」 被ばく時間を短くする
「遮蔽」 放射線防護衣 (プロテクター) 放射線防護メガネ、放射線防護板などを使用し、放射線を遮る

医療従事者の職業被ばく管理

• 個人線量計(ガラスバッジ) の装着
• 線量限度の把握
実効線量 (組織・臓器が受けた線量)
等価線量 (放射線によりどの程度影響があるか)

造影剤腎症

造影剤腎症とは
(Contrast-induced nepheropathy)CIN

診断

造影剤腎症(CIN)は「ヨード造影剤投与後 72 時間以内 に血清クレアチニン(SCr)値が前値よリ0.5 mg/dL以上ま たは 25%以上増加した場合」) に診断されるが,急性腎障害の診断基準(KDIGO Clinical Practice Guideline for Acute Kidney Injury)) を用いることもある.留意点としては,1造影前にできるだけ直近の SCr 値を用いて腎機能を評価すること,2検査前の腎機能評価は eGFR で行うが,造影剤腎症の診断は SCr 値の変化で評価することが挙げられる.

リスク評価

CABGまたは PCI後の CIN発症に関する複数のリスク評価指標が報告されているが,十分な検証がされているわけではない.したがって,絶対リスクとしてではなく相対的なリスク評価にとどめておくのが妥当である.日本腎臓学会ほかによる「腎障害患者におけるヨード造影剤使用に 関するガイドライン2018」に記載されている CIN の危険因子を抜粋した.
CIN の原因として造影剤の浸透圧がしばしば議論になるが,等浸透圧造影剤と低浸透圧造影剤で CIN の発症率に差はみられていない.また,低浸透圧造影剤どうしの間における相違もない.なお,経動脈投与は経静脈投与と比較して CIN 発症率が高い傾向にあると報告されている.
PCI自体が慢性腎臓病(CKD)の予後を悪化させるというエビデンスはないが,造影剤の投与量は必要最少限とすることが推奨される.また,短期間に反復して PCI 手技を行うことは推奨されない.

予防法

CIN を発症した患者では心血管イベント発生率が高いことが報告されており,CIN の予防は PCI において必須の重要事項であるが,エビデンスがあり推奨される方法は輸液のみである.
待機的 PCI の症例では,生理食塩液を造影開始 6 時間前 から 1 mL/kg/h で輸液し,造影終了後は 1 mL/kg/h で 6 ~ 12 時間輸液する.輸液時間が限られる場合には炭酸水素 ナトリウム液の投与も推奨されている.緊急症例では炭酸 水素ナトリウム液を造影開始1時間前から3 mL/kg/hで輸液し,造影終了後は 1 mL/kg/h で 6 時間輸液する.飲水のみによる水分補給は推奨されず,輸液による十分な対策を 講じることが推奨される.
N- アセチルシステイン,h-ANP,アスコルビン酸,スタチンなどさまざまな薬物治療の報告があるが,CIN を予防するという十分なエビデンスはなく,推奨されない.
血液透析がしばしば施行されているが,有効性は明らかではなく,施行すべきではない.

発症後の治療

CIN発症後の治療としてループ利尿薬,低用量ドパミン, hANP の有効性は実証されていない.また,輸液療法は有 効循環血漿量の低下がみられない場合は推奨されない.血 液浄化療法は乏尿を伴うような全身状態不良の患者には推 奨されるが,腎機能改善を目的とした使用には推奨されて いない.
なお,詳細は日本腎臓学会・日本医学放射線学会・日本 循環器学会により編集された「腎障害患者におけるヨード 造影剤使用に関するガイドライン2018」1000) を参照のこと. 造影剤腎症(CIN)の危険因子
項目指針
CKDCIN 発症の危険因子である.
加齢CIN 発症の危険因子である.
糖尿病CKD を伴う場合は危険因子であるが,伴わない場合は危険因子であるか明らかではない.
RAS 阻害薬使用リスクを増加させるエビデンスは明らかではない.
利尿薬使用継続リスクを増加させるかは明らかではない.
予防的利尿薬使用使用を推奨しない.
NSAIDs使用を推奨しない.
ビグアナイド系糖尿病薬一時的に休薬するなど,適切な処置を行うことを推奨する.
腹膜透析患者残存腎機能低下の危険因子となる可能性がある.
片腎CIN 発症リスクを増加させるというエビデンスは明らかではない


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PCI
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参考

2021年改訂版 循環器診療における放射線被ばくに関するガイドライン
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2021/03/JCS2021_Kozuma.pdf

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