【臨床工学技士国家試験】電子回路素子の過去問解説|ダイオード・トランジスタ・オペアンプの頻出ポイント
電子回路素子は、医用電気電子工学の中でも毎年出題される頻出分野です。「暗記しようとすると覚えられないのに、パターンをつかむと一気に得点源になる」のがこの分野の特徴。実際この記事の中には、第30回と第33回でほぼ同じ内容が再出題された問題があります(30-51と33-51を見比べてみてください)。過去問のパターンに習熟することが、そのまま得点につながる実例です。この記事では第30回〜第33回の過去問26問を、1問ずつ、選択肢ごとに「なぜ○なのか・なぜ×なのか」まで解説します。現役の臨床工学技士(CE)が現場目線でまとめました。
第30回
第30回 午前51問正しいのはどれか。
a. 理想ダイオードの順方向抵抗は無限大である。
b. バイポーラトランジスタは電圧制御素子である。
c. ピエゾ効果が大きい半導体は磁気センサに利用される。
d. FETのn形チャネルの多数キャリアは電子である。
e. CMOS回路はバイポーラトランジスタ回路よりも消費電力が少ない。
正解:5(d、e)
- a ×:理想ダイオードは順方向抵抗0・逆方向抵抗∞。「順方向は完全に通す、逆方向は完全に止める」が理想の意味。問題文は逆。
- b ×:バイポーラトランジスタ(BJT)は電流制御素子(ベース電流でコレクタ電流を制御)。電圧制御なのはFET。この対比は国試の定番。
- c ×:ピエゾ(圧電)効果は圧力・加速度の検出に利用。磁気センサはホール素子。「ピエゾ=圧、ホール=磁気」でセット暗記。
- d ○:n形チャネルの多数キャリアは電子。n形=negative=電子、p形=positive=正孔。
- e ○:CMOSは静的消費電力が非常に小さく、一般にBJT回路より低消費電力。ペースメーカなど電池駆動の植込みデバイスにCMOSが使われる理由でもある。
図1の回路に図2に示す電圧Eを入力したとき、ダイオードD1に電流が流れる区間はどれか。ただし、ダイオードは理想ダイオードとする。
![第30回午前52問<br><br>図” width=”527″ height=”209″/></figure>
1. A<br>2. B<br>3. C<br>4. D<br>5. E<br>
<br><strong>正解:3(C)</strong><br>
<ul><li>理想ダイオードが導通する条件は<strong>アノード電位>カソード電位</strong>。入力波形の各区間について、D1のアノード側とカソード側の電位を比較し、順方向になる区間だけを選ぶ。</li><li>この回路はバイアス電源が入っているので「入力電圧がバイアス電圧を超えた区間だけON」。バイアス−3Vを超えて導通するのは区間C。</li></ul>
<strong>第30回 午後53問<br><br></strong><br>
図のツェナーダイオード(ツェナー電圧3V)を用いた回路で20Ωの抵抗に流れる電流[mA]はどれか。<br>
<figure class=](https://ceme.me/wp-content/uploads/2020/09/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88-2020-09-06-13.08.28-1024x406.png)
![第30回午後53問<br><br>図” width=”483″ height=”226″/></figure>
1. 0<br>2. 100<br>3. 150<br>4. 250<br>5. 400<br>
<br><strong>正解:2(100mA)</strong><br>
<ul><li>ツェナーダイオードが降伏領域で動作しているとき、ツェナーの両端電圧は<strong>3Vに固定</strong>される。</li><li>残りの電圧(電源電圧−3V)が20Ωにかかるので、オームの法則で電流を出す。電源5Vなら(5−3)V÷20Ω=0.1A=<strong>100mA</strong>。</li></ul>
<strong>第30回 午後54問<br><br></strong><br>
図の増幅回路全体の増幅度は54dBである。抵抗R[kΩ]はどれか。ただし、Aは理想演算増幅器とし、log₁₀2を0.3とする。<br>
<figure class=](https://ceme.me/wp-content/uploads/2020/01/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88-2020-02-17-23.41.26-1024x481.png)
![第30回午後54問<br><br>図” width=”509″ height=”178″/></figure>
1. 5<br>2. 10<br>3. 50<br>4. 100<br>5. 500<br>
<br><strong>正解:3(50kΩ)</strong><br>
<ul><li>dB計算の頻出パターン。増幅度[dB]=20log₁₀(電圧増幅度)。<strong>6dB=2倍</strong>を使うのが速い。</li><li>54dB=6dB×9=2⁹≒500倍。全体500倍から多段増幅の段ごとの積でRを逆算すると、R=50kΩ(R/100Ω=500の関係)。</li></ul>
<strong>第30回 午後55問<br><br></strong><br>
図の回路について正しいのはどれか。ただし、Aは理想演算増幅器とする。<br>
<figure class=](https://ceme.me/wp-content/uploads/2020/01/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88-2020-02-17-23.43.01-1024x359.png)
第31回
第31回 午前52問図のpn接合で正しいのはどれか。
![第31回午前52問<br><br>図” width=”348″ height=”213″/></figure>
a. 多数キャリアAには右方向に力が作用する。<br>b. 多数キャリアBは電子である。<br>c. 電圧Eを高くしていくと降伏現象が生じる。<br>d. 電圧Eを高くすると空乏層が小さくなる。<br>e. 電圧Eを高くすると拡散電位が高くなる。<br>
<br><strong>正解:3(b、c)</strong><br>
<ul><li>この回路は<strong>逆バイアス</strong>。逆バイアスの性質から各選択肢を判定する。</li><li><strong>c ○</strong>:逆電圧を上げていくと、あるところで降伏現象(ブレイクダウン)が起こる。</li><li><strong>d ×</strong>:逆バイアスでは空乏層は<strong>広がる</strong>(小さくならない)。</li><li><strong>e ×</strong>:拡散電位(内蔵電位)は接合の材料で決まる値で、外部電圧では変わらない。</li><li>キャリアの種類はn側=電子、p側=正孔を図に当てはめて判断する(b○)。</li></ul>
<strong>第31回 午前53問<br><br></strong><br>
正しいのはどれか。<br>
a. LEDの発光強度は加えた電圧に比例する。<br>b. LEDの発光波長は流した電流に比例する。<br>c. LEDの順方向電圧は整流用ダイオードよりも高い。<br>d. フォトダイオードの出力電流はアノードから流出する方向に流れる。<br>e. フォトダイオードの出力電流は入射光が強くなると増加する。<br>
<br><strong>正解:5(c、d、e)</strong><br>
<ul><li><strong>a ×</strong>:LEDの発光強度は<strong>電流</strong>にほぼ比例する(電圧ではない)。だからLEDは電流で駆動する。</li><li><strong>b ×</strong>:発光波長は材料のバンドギャップで決まる。電流を増やしても色は変わらない。</li><li><strong>c ○</strong>:LEDの順方向電圧(約1.8〜3.6V)は整流用シリコンダイオード(約0.6〜0.7V)より高い。</li><li><strong>d ○</strong>:フォトダイオードは光が当たると起電力を生じ、電流はアノードから外部へ流出する向きに流れる(太陽電池と同じ)。</li><li><strong>e ○</strong>:光電流は入射光強度にほぼ比例して増加する。パルスオキシメータの受光側はこの性質を使っている。</li></ul>
<strong>第31回 午前54問<br><br></strong><br>
図の回路の電圧増幅度を20dBとするとき、抵抗Rに流れる電流I[mA]はどれか。ただし、Aは理想演算増幅器とする。<br>
<figure class=](https://ceme.me/wp-content/uploads/2020/01/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88-2020-01-13-22.46.17-1024x627.png)

![第31回午前55問<br><br>図” width=”452″ height=”219″/></figure>
a. 遮断周波数より十分に低い帯域で微分特性を有する。<br>b. コンデンサC1と抵抗R2に流れる電流は等しい。<br>c. 遮断周波数は314Hzである。<br>d. 直流成分は通過する。<br>e. 入力インピーダンスは抵抗R1とR2で決まる。<br>
<br><strong>正解:1(a、b)</strong><br>
<ul><li>入力側にコンデンサが直列に入った回路は<strong>微分回路(ハイパスフィルタ・HPF)</strong>。</li><li><strong>a ○</strong>:遮断周波数より十分低い帯域で微分特性を示す。</li><li><strong>b ○</strong>:理想オペアンプの入力端子には電流が流れ込まないため、入力側(C1)を流れた電流はそのまま帰還側(R2)に流れる。</li><li><strong>c ×</strong>:遮断周波数f=1/(2πC1R1)=1/(2π×0.1μF×1kΩ)≒1.6kHz。314Hzではない。</li><li><strong>d ×</strong>:入力にコンデンサが直列なので直流は通過しない(HPFの基本)。</li><li><strong>e ×</strong>:入力インピーダンスは入力側の素子(C1とR1)で決まり、周波数依存する。</li></ul>
31-55(微分・HPF)と後の32-52(積分・LPF)は対で覚えると効率的:<strong>入力側にC=微分(HPF)/帰還側にC=積分(LPF)</strong>。<br>
<strong>第31回 午後51問<br><br></strong><br>
抵抗変化を利用する素子はどれか。<br>
a. サーミスタ<br>b. CdS<br>c. ホール素子<br>d. 熱電対<br>e. 圧電素子<br>
<br><strong>正解:1(a、b)</strong><br>
<ul><li><strong>a ○</strong>:サーミスタは温度で抵抗が変わる素子。体温測定・温度モニタの定番。</li><li><strong>b ○</strong>:CdS(硫化カドミウム)は光で抵抗が変わる素子(光導電効果)。</li><li><strong>c ×</strong>:ホール素子は磁界で起電力(ホール電圧)を生じる素子。</li><li><strong>d ×</strong>:熱電対は温度差で起電力を生じる素子(ゼーベック効果)。</li><li><strong>e ×</strong>:圧電素子は圧力で電荷(起電力)を生じる素子。超音波プローブの心臓部。</li></ul>
覚え方:<strong>抵抗が変わる組=サーミスタ・CdS・ひずみゲージ</strong>/<strong>起電力を生む組=ホール素子・熱電対・圧電素子・フォトダイオード</strong>。この2グループ整理で、次の32-51もそのまま解ける。<br>
<strong>第31回 午後52問<br><br></strong><br>
図1に示した特性のダイオードを2つ用いた図2の回路の出力電圧Voの最大値Vomax[V]と最小値Vomin[V]はどれか。ただし、順方向の電圧降下は0.6Vとする。<br>
<figure class=](https://ceme.me/wp-content/uploads/2020/01/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88-2020-01-13-23.03.49-1024x498.png)



第32回
第32回 午前52問電界効果トランジスタ(FET)について誤っているのはどれか。
a. MOS-FETは金属-酸化膜-半導体の構造をもつ。
b. FETはユニポーラトランジスタである。
c. FETのn形チャネルのキャリアは正孔である。
d. FETではゲート電流でドレイン電流を制御する。
e. FETは高入力インピーダンス素子である。
正解:4(c、d)※「誤っているもの」を選ぶ問題
- a 正しい:MOS=Metal-Oxide-Semiconductor。名前そのまま。
- b 正しい:FETは1種類のキャリアだけで動くユニポーラ素子。BJTは電子と正孔の両方を使うバイポーラ。
- c 誤り:n形チャネルのキャリアは電子。正孔はp形チャネル。
- d 誤り:FETはゲート電圧でドレイン電流を制御する電圧制御素子。「ゲート電流で」が誤り。BJT(電流制御)との対比。
- e 正しい:ゲートに電流がほぼ流れないため入力インピーダンスが非常に高い。生体アンプの入力段に向く性質。
図1の電圧Viを入力したとき、図2の電圧Voを出力する回路はどれか。ただし、ダイオードは理想ダイオードとする。



![第32回午後53問<br><br>図” width=”511″ height=”759″/></figure>
<br><strong>正解:3</strong><br>
<ul><li>ツェナーは「順方向=普通のダイオード(約0.6Vで導通)、逆方向=ツェナー電圧(3V)で降伏して電圧固定」。</li><li>Viを−側から+側まで振ったときに、Voがどの電圧で頭打ち(クリップ)になるかを場合分けしてグラフを選ぶ。</li></ul>
<strong>第32回 午後55問<br><br></strong><br>
図の回路のVi[V]はどれか。ただし、Aは理想演算増幅器とする。<br>
<figure class=](https://ceme.me/wp-content/uploads/2020/09/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88-2020-09-05-21.11.54-690x1024.png)
第33回
第33回 午前52問理想演算増幅器について正しいのはどれか。
a. 周波数帯域幅は無限大である。
b. 出力インピーダンスは無限大である。
c. 同相除去比(CMRR)はゼロである。
d. 入力端子に流れ込む電流はゼロである。
e. スルーレートは無限大である。
正解:3(a、d、e)
- a ○:理想オペアンプはどんな周波数でも増幅できる=帯域幅無限大。
- b ×:出力インピーダンスはゼロが理想(どんな負荷にも電圧を伝えられる)。
- c ×:CMRRは無限大が理想(同相ノイズを完全に除去できる)。心電図アンプでこの性能が命になる。
- d ○:入力端子に流れ込む電流はゼロ(入力インピーダンス無限大)。オペアンプ計算問題の大前提。
- e ○:スルーレート(出力が変化できる速さ)は無限大が理想。
第33回 午前53問
素子自体が発光しないのはどれか。
a. CCD
b. 有機EL
c. プラズマディスプレイ
d. LED
e. 液晶
正解:2(a、e)
- a 発光しない:CCDは受光素子(撮像素子)。内視鏡カメラの心臓部。光を受けて電気信号に変える側。
- b 発光する:有機ELは自発光素子。
- c 発光する:プラズマディスプレイは放電による自発光。
- d 発光する:LEDは自発光の代表。
- e 発光しない:液晶は自分では光らず、バックライトの光を通す/遮るシャッターとして働く。
正しいのはどれか。
a. 理想ダイオードの逆方向抵抗はゼロである。
b. ユニポーラトランジスタは電流制御素子である。
c. ピエゾ効果が大きい半導体は磁気センサに利用される。
d. 接合型FETのn形チャネルの多数キャリアは電子である。
e. CMOS回路はバイポーラトランジスタ回路よりも消費電力が少ない。
正解:5(d、e)
- a ×:理想ダイオードの逆方向抵抗は無限大(30-51では「順方向が無限大」の形で出た。表現を変えて同じ知識を聞いている)。
- b ×:ユニポーラトランジスタ=FETは電圧制御素子。電流制御はBJT。
- c ×:ピエゾは圧力、磁気はホール素子。
- d ○:n形チャネルの多数キャリア=電子。
- e ○:CMOSは低消費電力。
第33回 午後52問
図の回路の入力インピーダンスはどれか。ただし、Aは理想演算増幅器とし、角周波数をω、虚数単位をjとする。


![第33回午後53問<br><br>図”/></figure>
1. Vd=1.0V、rd=250Ω<br>2. Vd=1.0V、rd=100Ω<br>3. Vd=0.6V、rd=250Ω<br>4. Vd=0.6V、rd=100Ω<br>5. Vd=0.6V、rd=0Ω<br>
<br><strong>正解:4(Vd=0.6V、rd=100Ω)</strong><br>
<ul><li>折れ線近似の等価回路。立ち上がり電圧Vd=グラフの折れ点(0.6V)。</li><li>動作抵抗rd=折れ線の傾きの逆数=ΔV/ΔI。0.6Vで0mA→1.0Vで4mA(ΔV=0.4V・ΔI=4mA)なので rd=0.4V/4mA=<strong>100Ω</strong>。</li></ul>
<strong>第33回 午後55問<br><br></strong><br>
図の回路に電圧Vi=100sin(10πt)[V]を入力した。出力電圧Voの実効値[V]はどれか。ただし、ダイオードは理想ダイオードとし、時間tの単位は秒とする。<br>
<figure class=](https://ceme.me/wp-content/uploads/2020/12/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88-2020-12-27-14.25.14-1024x473.png)

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