オペ室の略語・用語集|術式の呼び名とエネルギーデバイスをまとめて解説

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手術室で飛び交う略語は、正式名称のままでは出てこないものが多く、新人がまず戸惑うところです。このページではオペ室で実際に使われる呼び名を、正式名称と対応づけて整理します。出典が確認できたものは根拠を示し、現場の口語表現はそうと明記しています。

術式の呼び名

「ラパ」は laparoscopy(腹腔鏡)の略で、腹腔鏡下手術を指します。そこに臓器名や英語の術式名をつなげた呼び方が定着しています。
現場の呼び名正式名称由来
ラパコレ
ラパ胆(らぱたん)
腹腔鏡下胆嚢摘出術ラパコレ=laparoscopic cholecystectomy/ラパ胆=ラパ+
ラパ腹腔鏡下手術laparoscopy
オープン開腹手術open surgery
コンバージョン開腹移行conversion
ラパコレとラパ胆はどちらも同じ手術を指し、両方使われます。オペ看向けの用語解説でも「腹腔鏡下胆嚢摘出術のこと。ラパコレ・ラパタン(ラパ胆)と呼ばれる」と併記されています。学会の表記としては、日本胆道学会が患者向け解説で「腹腔鏡下(内視鏡下)胆のう摘出術(ラパコレ)」を使っています。 どちらが多いかは施設・診療科・世代で分かれます。どちらを聞いても同じ手術だと分かるようにしておくのが実用的です。 ここまでは現場の口語です。学会が定める正式な略号は次項にまとめました。

学会が定める術式の略号

カルテや手術記録に書かれる略号は、各学会のガイドライン・取扱い規約で定義されています。以下はガイドライン本文の記載です。

胃切除(日本胃癌学会・胃癌治療ガイドライン第6版)

略号術式名英語表記
TG胃全摘術Total gastrectomy
DG幽門側胃切除術Distal gastrectomy
PG噴門側胃切除術Proximal gastrectomy
PPG幽門保存胃切除術Pylorus-preserving gastrectomy
SG胃分節切除術Segmental gastrectomy
LR胃局所切除術Local resection
残胃全摘術Completion gastrectomy
残胃亜全摘術Subtotal resection of remnant stomach
リンパ節郭清は D0/D1/D1+/D2/D2+ で表します。同ガイドラインでは D0 を「D1に満たない郭清」、D1+の例として「D1+No. 8a,9,11p」が示されています。D2+は D2 を超える拡大郭清です。 再建法:Roux-en-Y法/空腸間置法/double tract法/BillrothⅠ法/BillrothⅡ法/胃胃吻合法/食道残胃吻合法。→ 胃切除

大腸切除(大腸癌研究会・大腸癌治療ガイドライン)

術式内容
前方切除・低位前方切除直腸を切除し吻合する術式
直腸切断術肛門ごと切除し永久人工肛門となる
ISR(括約筋間直腸切除術)「内肛門括約筋を合併切除することにより肛門側切離端を確保し,永久人工肛門を回避する術式」
Hartmann術吻合せず断端を閉鎖し人工肛門を造設する
郭清度は D0〜D3。同ガイドラインには「pTis癌はリンパ節転移をきたさないのでリンパ節郭清の必要はないが(D0)」「D1,D2,D3郭清では,『大腸癌取扱い規約』に定める腸管傍リンパ節が郭清されるよう,切離腸管長を決定する」とあります。→ 大腸癌切除 ※ 鼠径部ヘルニアの術式略号(TAPP・TEPなど)は、日本ヘルニア学会「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2024(第2版)」が原典ですが、本記事作成時点で学会サイトから本文を取得できなかったため、推測での記載は行っていません。正確な定義は同ガイドラインを参照してください。

安全に関わる用語

略語正式名称意味
CVSCritical View of Safety胆嚢を切離する前に、胆嚢に入る構造物が2本だけであることを目視で確認する手順。胆管損傷の予防策
IOC術中胆道造影
(intraoperative cholangiography)
術中に胆道を造影して解剖を確認する。Cアームの準備が必要
bail-out危険回避手術剥離が危険なとき、亜全摘・胆嚢瘻造設・開腹移行へ切り替えること
CVSの3要件は米国内視鏡外科学会(SAGES)が定義しており、③が核心です。
Two and only two structures should be seen entering the gallbladder. SAGES Safe Cholecystectomy Program
SAGESはさらに、クリップ・切離の前に手を止めるIntra-operative Momentary Pause(術中の一時停止)を推奨しています。手術室全体で「いま止まる」を共有するという点で、タイムアウトと同じ発想です。→ 詳しくは胆嚢摘出術

エネルギーデバイス

「どうやって熱を作るか」で系統が分かれます。ここを取り違えると安全対策も間違えます。
種類熱の作り方体に電流を流すか代表例
電気メス(ESU)高周波電流によるジュール熱・アーク放電流す(対極板が必要)モノポーラ/バイポーラ
超音波凝固切開装置ブレードの高速振動による摩擦熱流さないHARMONIC、SonoSurg、THUNDERBEAT
ベッセルシーリングバイポーラ電気メスの応用流す(2極間)ENSEAL、LigaSure
ジョンソン・エンド・ジョンソン メディカル カンパニーは、HARMONIC®を「電気を体に流さず、超音波振動を利用し、組織を切離・凝固する」もの、ENSEAL®を「バイポーラ電気メスの技術を応用し7mmまでの血管などの組織をシール可能」なものとして区別しています。 → 詳しくはハーモニック(超音波凝固切開装置)電気メスTHUNDERBEATSonoSurg

共通する注意:使用直後の余熱

系統が違っても、使い終わった直後の先端が熱い点は共通です。PMDA医療安全情報No.33は、電気メスの先端が使用中「非常に高熱(約300℃)」であり、「出力を止めてからもしばらくの間、100℃以上の熱を持っています!」と警告しています。実際に、ドレープの上に置いて患者に熱傷をきたした事例が報告されています。 推奨される対応は器械台への移動/ホルスターへの収納/シリコンマットの使用です。「使い終わったら必ずホルスターへ」——これはCEとして周知すべき最重要事項です。

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参考(一次情報)

本記事は2026年8月に作成しました。用語は順次追加していきます。

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