リポソーバー(LDLアフェレシス)とは|適応・回路・レオカーナとの違いを解説

透析
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リポソーバー(LDLアフェレシス/LDL吸着療法)は、血液中のLDLコレステロール(VLDL・Lp(a)を含む)を吸着して取り除く体外循環治療です。カネカのリポソーバー LA-15が代表的な吸着器です。
図:リポソーバー LA-15(吸着カラム)
出典:カネカメディックス リポソーバー LA-15 製品資料

何に使う?(適応)

添付文書上の適応は、「家族性高コレステロール血症、閉塞性動脈硬化症、巣状糸球体硬化症、難治性高コレステロール血症に伴う重度尿蛋白を呈する糖尿病性腎症に対するLDLアフェレシス療法」です。脂質の是正や、脂質が関わる腎疾患が主な使いどころです。
  • 家族性高コレステロール血症(FH):薬で下がりきらない高LDLの是正
  • 巣状糸球体硬化症(FSGS):難治性ネフローゼ症候群
  • 閉塞性動脈硬化症(ASO):ただし総コレステロール/LDLが一定値以下に下がらない等の検査値基準が前提
  • 難治性高コレステロール血症に伴う重度尿蛋白を呈する糖尿病性腎症

下肢の重症虚血(CLTI)はレオカーナへ

CLTIの潰瘍治療という一領域に限っては、血漿分離が要らず全血を直接通せる レオカーナ が登場し、そこはレオカーナへ置き換わりつつあります。

FH(家族性高コレステロール血症)での位置づけ

日本動脈硬化学会のFH診療ガイドライン2022では、FHホモ接合体・薬物療法抵抗性の重症ヘテロ接合体に、LDLアフェレシスでLDLを厳格に下げることを推奨しています(推奨レベルA)。 ホモ接合体では1〜2週に1回行うことが多く、できるだけ早期からの開始が勧められます。 ヘテロ接合体の保険適応は、総コレステロールが400mg/dLを超え、250mg/dL以下に下がらず、黄色腫を伴い冠動脈病変が明らかな場合とされています。

治療アルゴリズムでの位置づけ

まずヘテロ接合体。スタチン→エゼチミブ→PCSK9阻害薬…と薬物療法を尽くしても目標に届かないとき、最終段にLDLアフェレシスが位置づけられます。
FHヘテロ接合体の診断 生活習慣改善・適正体重の指導と同時に、脂質低下療法を開始LDL-C管理目標:一次予防 100mg/dL未満/二次予防 70mg/dL未満 スタチンの投与 スタチン不耐なら別剤・投与間隔を考慮 効果不十分 スタチン最大耐用量 and/or エゼチミブ投与 効果不十分(あるいはエゼチミブ使用不可) レジン・プロブコール・PCSK9阻害薬を追加※スタチン最大耐用量投与時のみ/多剤併用可・スタチン不耐時はPCSK9単独可 効果不十分 LDLアフェレシス=リポソーバー等で厳格にLDLを下げる
図:FHヘテロ接合体の治療の流れ(最終段にLDLアフェレシス)。日本動脈硬化学会 FH診療ガイドライン2022の内容をもとに作図
ホモ接合体では、診断後できるだけ早期から積極的にLDLアフェレシスを導入します(1〜2週に1回)。
FHホモ接合体の診断必ず専門医に相談すること 生活習慣改善・適正体重の指導と同時に、脂質低下療法を開始LDL-C管理目標:一次予防 100mg/dL未満/二次予防 70mg/dL未満 第一選択薬:スタチンを速やかに最大耐用量まで増量 効果不十分 エゼチミブ・PCSK9阻害薬・MTP阻害薬・レジン・プロブコール 追加(多剤併用可能) and / or 可及的速やかな LDLアフェレシスの導入 ホモ接合体では早期からのLDLアフェレシスが重要(1〜2週に1回)
図:FHホモ接合体の治療の流れ。日本動脈硬化学会 FH診療ガイドライン2022の内容をもとに作図

吸着のしくみ

吸着体はデキストラン硫酸を固定した多孔質のセルロースゲルです。LDL・VLDL・Lp(a)に含まれるアポ蛋白B(プラス荷電)と、デキストラン硫酸(マイナス荷電)静電気的な引き合いで、これらの脂質が吸着されます。
デキストラン硫酸(陰性荷電)が、apoBを持つリポ蛋白を吸着する セルロース ビーズ デキストラン硫酸(−) LDLapoB + VLDLapoB + Lp(a)apoB + ← 静電気で吸着(除去) HDLapoBなし 吸着されない =そのまま温存 善玉のHDLや アルブミンは残る
図:吸着のしくみ(デキストラン硫酸がapoBを持つLDL・VLDL・Lp(a)を静電的に吸着。HDLやアルブミンは温存)

善玉は残す「選択的」な吸着

LDLやβ-リポ蛋白(悪玉側)はしっかり吸着される一方、HDL(善玉)はほとんど吸着されません
図:脂質成分の変化(LDL等は吸着、HDLは温存=選択的な吸着)
出典:カネカメディックス リポソーバー LA-15 製品資料
コレステロール以外でも、アルブミンなど体に必要な蛋白は吸着されず温存されます。だから安全に繰り返せます。
図:その他の血漿成分の変化(アルブミン等の有用蛋白は温存)
出典:カネカメディックス リポソーバー LA-15 製品資料

吸着カラムの構造

吸着体(デキストラン硫酸を固定したセルロースゲル)を、メッシュで挟んでカラムに充填した構造です。
図:吸着カラムの構造
出典:カネカメディックス リポソーバー LA-15 製品資料

回路と施行の実際|血漿分離が必要

リポソーバーは血漿交換型です。まず膜型血漿分離器「サルフラックス」で血漿を分離し、その血漿をリポソーバーに通してLDLを吸着し、血球と合流させて体に戻します(回路が二段)。1回の治療での血漿処理量は通常3〜4リットル、週1〜2回を繰り返します。
図:リポソーバーの回路(返血・血漿・賦活の3回路)
出典:カネカメディックス リポソーバー LA-15 製品資料

賦活で吸着器を再生しながら使う

治療中は吸着器を賦活液で洗って吸着能を回復させ、1本の吸着器で処理を続けます。賦活を繰り返しても吸着能は保たれます。
図:賦活回数と吸着能力
出典:カネカメディックス リポソーバー LA-15 製品資料

治療中のコレステロールの変化

治療が進むにつれ、吸着器を通った後(出口)のコレステロール濃度が下がっていきます。
図:治療中のコレステロール濃度(入口・出口)と賦活のタイミング
出典:カネカメディックス リポソーバー LA-15 製品資料

レオカーナとの違い

項目リポソーバーレオカーナ
通し方血漿分離が必須(二段回路)全血を直接灌流(血漿分離なし)
リガンドデキストラン硫酸のみデキストラン硫酸+L-トリプトファン
除去対象LDL-C・VLDL・Lp(a)LDL-C+フィブリノゲン
主な狙い脂質是正/FSGS等(検査値基準あり)下肢潰瘍の治癒(血行再建不適応のASO)
レオカーナの詳細は レオカーナとは|吸着型血液浄化器 を参照してください。

共通の注意|ACE阻害薬は禁忌

リポソーバーもACE阻害薬を服用中の患者には禁忌です(添付文書:「ACE阻害薬を服用中の患者さんには、絶対に使用しないでください」)。陰性荷電の吸着体にふれるとブラジキニンが増え、ACE阻害薬を飲んでいると分解できず蓄積し、血圧低下・ショックを起こすためです。PMDA医療安全情報 No.68(2024年2月)でも、レオカーナ・リポソーバー・イムソーバ等の陰性荷電系を横断して注意喚起されています。

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出典

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