レオカーナとは|LDL吸着で下肢の血流を改善する血液浄化器(CLTI治療)を解説

透析
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レオカーナは、血行再建術(バイパス・EVT)が難しい閉塞性動脈硬化症(ASO)の治りにくい下肢潰瘍に使う吸着型血液浄化器です。体外に導いた血液からLDLコレステロールとフィブリノゲンを吸着除去し、血液をサラサラにして足の微小循環を改善し、潰瘍の治癒をねらいます。

まず結論

  • 正体:デキストラン硫酸とL-トリプトファンを固定化したセルロースビーズを使う「吸着型」の血液浄化器。
  • はたらき:全血をそのまま通してLDLコレステロールとフィブリノゲンを吸着。血液がサラサラになり、足の微小循環が改善して潰瘍が治りやすくなります。
  • 対象:血行再建(バイパス・EVT)ができない、または効かないASO(閉塞性動脈硬化症)の下肢潰瘍=重症下肢虚血(CLTI)。
  • 回路:ふだんの透析回路のダイアライザーを、レオカーナに置き換えるだけで使えます。
  • 絶対禁忌:ACE阻害薬を服用中の患者には使えません(ショックの危険)。
重症下肢虚血(CLTI)ASOで足に潰瘍・壊死。放置は下肢切断のリスクまず血行再建を検討(バイパス手術・EVT)詰まった血管を物理的に広げる/繋ぐ適応あり不適応・不応答血行再建を実施血流を回復できる症例レオカーナ(吸着療法)+創傷ケアで潰瘍の治癒をめざす潰瘍の治癒・下肢救済承認上の適応血行再建術が「不適応」な閉塞性動脈硬化症の潰瘍の改善週2回(連日は避ける)1回 約2時間最長12週・計24回で1クール血流量 最大200mL/分
図:レオカーナの適応の位置づけ(CLTI治療のどこで使うか)

適応|血行再建が不適応なCLTIの下肢潰瘍

承認上の使用目的は「血行再建術不適応な閉塞性動脈硬化症における潰瘍の改善」。対象は血行再建術が不適応または不応答なCLTI(重症下肢虚血)でFontaine分類IV度の患者です。CLTIそのものの病態・分類・治療の全体像は、別ページ「CLTI(重症下肢虚血)とは」で詳しく解説しています。

なぜ潰瘍が治る?(効くしくみ)

血液を吸着器に通すLDL・フィブリノゲンを吸着除去血をドロドロにする成分を抜く血液サラサラ(レオロジー改善)血管が広がる(NO・キニン)血管新生・抗炎症(VEGF/CRP↓)足の微小循環が改善潰瘍が治る・下肢を救う治癒率45.9%(治験61例)・平均60日
図:なぜ潰瘍が治るか(吸着→血流改善→治癒)
LDL・フィブリノゲンを抜くと、血液レオロジー(流動性)が改善し、NO・キニン系を介した血管拡張、VEGFによる血管新生、CRP低下などの抗炎症作用が働き、足の微小循環が底上げされて潰瘍の治癒につながります。

安全上の注意|ACE阻害薬は併用禁忌

吸着体は陰性荷電血液が触れると…ブラジキニンが増えるふつうは ACE が分解 → 問題なしACE阻害薬を飲むと分解できずブラジキニン蓄積血圧低下・ショック意識レベル低下の事故報告あり現場でやること:①施行前に内服(ACE阻害薬)を必ず確認 ②診療科間・多職種で共有 ③該当なら休薬・切替を主治医と調整PMDA医療安全情報 No.68(2024.2)
図:ACE阻害薬が禁忌になるしくみ
レオカーナはACE阻害薬服用中の患者に禁忌です(添付文書:「本品使用中にショックを起こすことがある」)。陰性荷電の吸着体にふれるとブラジキニンの産生が促進され、ACE阻害薬を飲んでいると分解できず蓄積 → 血圧低下・ショックを起こします。施行前に必ず内服(ACE阻害薬)を確認し、多職種で共有、該当時は休薬・切替を主治医と調整します。PMDA医療安全情報No.68(2024年2月)でも、レオカーナ・リポソーバー・イムソーバ等の陰性荷電系を横断して注意喚起されています。

もっと詳しく(原理・仕様・治験成績)

血液浄化療法(アフェレシス)全体の分類——血漿交換(PE)・血漿灌流(PP)・直接血液灌流(DHP)——は アフェレシス(血液浄化療法)とは で解説しています。ここではレオカーナの原理・仕様・治験成績を扱います。

吸着型血液浄化器(レオカーナ)


LDLおよびフィブリノーゲンの吸着による血液流動性の改善により、閉塞性動脈硬化症の末梢血液循環の改善を導き難治性潰瘍を治療することを目的とする。

レオカーナ使用目的

血行再建不適応な閉塞性動脈効果症(ASO)における潰瘍の改善を目的に使用する

対象患者

血行再建術不適応な潰瘍を有するASO(Fontaine IV)患者

閉塞性動脈硬化症及び血行再建術不適応な患者の判断基準

下肢潰瘍を有し、血行再建術ができない(不適応)、もしくは、実施しても術が不成功や再狭窄などで潰瘍が改善しない(不応答)ASO 患者。
不適応・不応答の例を以下に示すが、これらのみに限定されない。
  • 解剖学的困難
  • 血行再建術が手技的に不成功
  • 血行再建術が臨床的に不成功
  • その他の理由

治験成績

血行再建不適応の潰瘍・壊疽を有する閉塞性動脈硬化症患者に対して、治療開始後24週間の観察期間内で、

対象病変治癒率 45.9%

一般社団法人 日本フットケア・足病医学会策定「閉塞性動脈硬化症の潰瘍治療における吸着型血液浄化器に関する適正使用指針 第1版(2021年)」より抜粋

治療スケジュール例

治療時間など
治療時間:1 回の治療は約 2 時間とする。
治療頻度:週 2 回の実施を基本とする。
治療間隔:中 1 日以上空ける。
抗凝固薬:原則ヘパリン(非分画)とする。
血液流速:最高 200mL/分とするが、患者の状態を観察しながら、段階的に上昇 させる。

償還価格

保険償還価格:91,600円
技術料:1,680点

吸着メカニズム

陰性(-)荷電を持つデキストラン硫酸と疎水性のトリプトファンをセルロースビーズ表面に化学的に固定しています。
血液中のLDLが陽性(+)に荷電したアポ蛋白Bをもつため陰性(-)に荷電したデキストラン硫酸との静電気相互作用により吸着され、フィブリノーゲンがトリプトファンとの疎水性相互作用により吸着されます。

吸着体の性質(in vitro試験)

健康人血漿を2時間吸着させた後、各項目を測定
(試験実施施設:株式会社カネカ)

構造および仕様

カラム本体:ポリプロピレン
吸 着 体:デキストラン硫酸及び L- トリプトファンを固定化したセルロースビーズ
吸着体容量:250mL
充 填 液:クエン酸とクエン酸ナトリウムの混合水溶液
滅 菌 法:高圧蒸気滅菌

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参考
カネカのレオカーナ情報ページ
https://www.kaneka-med.jp/medicalstaff/products/2_apheresis/1_refractory-leg-ulcer-disease/1_adsorption-type-blood-purifier/1_leocana/pdf/option.pdf 製品カタログ
https://www.kaneka-med.jp/medicalstaff/products/2_apheresis/1_refractory-leg-ulcer-disease/1_adsorption-type-blood-purifier/1_leocana/pdf/e-catalog.pdf 添付文書
https://www.kaneka-med.jp/medicalstaff/products/2_apheresis/1_refractory-leg-ulcer-disease/1_adsorption-type-blood-purifier/1_leocana/pdf/attach.pdf
閉塞性動脈硬化症の潰瘍治療における 吸着型血液浄化器に関する適正使用指針 第1版
2021 年 2 月
一般社団法人 日本フットケア・足病医学会
https://jfcpm.org/docs/oshirase/kaiyouchiryou_20210225.pdf ・レオカーナが対象となる包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)の位置づけ:日本循環器学会ほか「末梢動脈疾患ガイドライン(2022年改訂版)|4.3 包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)(51頁)」(本ガイドラインは疾患についての記載で、機器個別の推奨ではありません)
・メーカー公式:カネカメディックス「レオカーナ(吸着型血液浄化器)」(医療従事者向け)
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参考:リポソーバーとの違い(全血直接灌流という強み)

レオカーナシンプル・1段からだポンプレオカーナ吸着器からだ全血返血全血を直接灌流血漿分離なしリポソーバー二段・血漿分離が必須からだ血漿分離器サルフラックスリポソーバー血漿だけ吸着合流からだ血漿血球はバイパスして合流
図:回路のちがい(レオカーナ=全血直接灌流/リポソーバー=血漿分離が必須)
レオカーナ最大の強みは全血をそのまま通せる(血漿分離が不要)こと。いつもの透析回路の延長で回せます。
項目レオカーナリポソーバー
血液の通し方全血を直接灌流(血漿分離が不要)血漿分離が必須(サルフラックスで分離→リポソーバー)
回路通常の透析回路でOK・ダイアライザーを置換するだけ血漿分離器を含む二段回路
リガンドデキストラン硫酸+L-トリプトファンデキストラン硫酸のみ
主な除去対象LDL-C+フィブリノゲンLDL-C
主な狙い下肢潰瘍の治癒(検査値基準なし)脂質是正(FH/FSGS/SLE等・検査値基準あり)

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