HIF-PH阻害薬

スポンサーリンク
HIF-PH阻害薬について説明です。

腎性貧血治療薬HIF-PH阻害薬




HIF-PH阻害剤
一般名商品名
ロキサデュスタットエベレンゾ
バダデュスタットバフセオ
バダデュスタットダーブロック
モリデュスタットマスーレッド
エナロデュスタットエナロイ

腎性貧血の定義

腎臓においてヘモグロビン(Hb)の低下に見合った十分量のエリスロポエチン(EPO)が産生されないことによって引き起こされる貧血

腎性貧血とは

腎機能が悪化すると腎臓より分泌される赤血球を造る働きを促進する、エリスロポエチンというホルモンの
分泌が減り赤血球を造る機能が低下することでおこる貧血のことです。 治療の目標はヘモグロビン値11~13g/dl。 治療は不足しているエリスロポエチンを補う必要があります。透析を行っていない患者は、赤血球造血刺激因子
製剤(ESA製剤:ミルセラ・ネスプなど)を2~4週間ごとに皮下投与します。
内服薬ではエベレンゾ(バダデュスタット)が先に承認されていましたが、適応症が透析患者に限定されて
いました。バフセオは透析に至る前の患者にも使用できます。

EPOとは

赤血球の産生に必須のホルモンであり、主に腎臓の尿最近周囲の間質に分布する細胞から産生されます。

・ESA

エポエチン
ネスプ  週1回
ミルセラ 2週に1回もしくは4週に一回 半減期が長い

・HIF-PH阻害剤

エベレンゾ(ロキサデュスタット)

作用機序

HIF-PHを不活性化し、HIF-αの水酸化及び分解を抑制する。
HIF-αは核内に移行し、ヘテロダイマーを形成する。
核内で遺伝子の転写領域に結合してエリスロポエチンの合成を促す。
エリスロポエチンが産生されて
赤血球が造られる。 HIF(Hypoxia Inducible Factor:低酸素誘導因子)
低酸素状態に対する生体の適応反応において、重要な遺伝子を制御する転写因子です。
HIF-αの量は、細胞内の酸素分圧に応じて、HIF-PH(プロリン水酸化酵素)による制御を受けています。
低酸素状態に傾くと、HIF-αの分解が妨げられ、エリスロポエチンの遺伝子発現に影響を与えます。 HIF-PH(プロリン水酸化酵素) 細胞内の酵素分圧に応じ、HIF-αを水酸化して分解に導きます。
低酸素状態に傾くと、活性が低下します。

HIF-PH阻害薬の発売状況

2021年7月現在、以下の5成分が薬価収載されている。 ロキサデュスタット(アステラス):2019年11月発売(商品名エベレンゾ) バダデュスタット(田辺三菱):2020年8月発売(商品名:バフセオ) ダプロデュスタット(グラクソ):2020年8月発売(商品名:ダーブロック) モリデュスタット(バイエル):2021年4月発売(消費名:マスーレッド) エナロデュスタット(鳥居):2020年12月発売(商品名:エナロイ)

HIF-PH阻害薬について

作用機序

HIF-PH:低酸素誘導因子(HIF)-プロリン水酸化酵素含有タンパク質(PH)の略。 HIF:細胞への酸素供給が不足すると産生される転写因子。
血管新生や造血反応など様々な遺伝子発現に関与するのだが、そのうちの1つにエリスロポエチンの産生がある。※1 このHIFは通常PHによってすぐ分解されてしまう。
HIF-PH阻害薬はHIF-PHを阻害することで、HIFの分解を抑制し、エリスロポエチンの産生を増やすことができる。

エベレンゾ(ロキサデュスタット)

用法が週3回(2~3日おき、1週間に3回)で使いにくい印象。 開始用量は2パターン  ・ESA使用者:70mgまたは100mg(切り替え前ESAの投与量で判断) ・ESA未使用者:50mg ※透析有無によらない。 食事の影響は受けない(食後でCmaxは20%低下したが、AUCは変化なし) 一部のリン吸着剤および陽イオンにより吸収低下するため透析患者等は要注意。

バフセオ(ダバデュスタット)

透析の有無やESA製剤の使用・未使用に関わらず、開始用量は300mgのみで分かりやすい。 (臨床試験もESA使用・未使用どちらも開始は300mgで実施、その後150mg単位で調整し、1日用量として150~600mgで調整) 食事によりTmaxの延長は見られているが、AUCはほぼ変化なし。

ダーブロック(ダプロデュスタット)

開始用量は2パターン ・非透析CKDでESA未使用:2mg(Hb≧9)または4mg(Hb<9) ・非透析CKDでESA使用、透析(ESA無関係):4mg 相互作用が少なく、食事の影響もほぼないため用法の指定もなし。 多剤併用の透析患者では使いやすそう。 ただ、クロピドグレルによりダーブロックのAUCが、クロピドグレル非併用例に比べて1.75~2.65倍と報告されている。 しかし、投与4週時のヘモグロビン変化量の分布は重なっており、クロピドグレルの併用有無による投与初期のヘモグロビン変化への影響はみられなかったとなっているので、Hb見ながら用量調整する薬剤であることを考えるとそこまで問題にもならなそう。

マスーレット(モリデュスタット)

用法が食後指定のため注意。 ※食後は空腹時と比べ、Cmax、AUC低下、Tmax延長=空腹時だと効果増強してしまうかも。 開始用量が3パターン ・非透析CKDでESA未使用:25mg ・非透析CKDでESA使用:25mgまたは50mg(切り替え前ESAの投与量でどちらか判断) ・透析(ESA無関係):75mg

エナロイ(エナロデュスタット)

開始用量は2パターン ・非透析CKDおよび腹膜透析:2mg ・血液透析:4mg エナロイの開始用量は、腹膜透析については非透析と同じほうに入るため注意。 用法は空腹時(食前、寝る前)となっているが、エナロイの食事の影響を調べた試験では100㎎と通常の25倍の量で行われているので、正直それをもとにして空腹時指定にすることに意味があるか不明。


———————–
透析トップページ
MEトップページ
参考
エベレンゾ エベレンゾ添付文書
医療用医薬品 : エベレンゾ (エベレンゾ錠20mg 他)
HIF-PH阻害薬, 腎性貧血治療薬; 総称名:エベレンゾ; 一般名:ロキサデュスタット; 販売名:エベレンゾ錠20mg, エベレンゾ錠50mg, エベレンゾ錠100mg; 製造会社:アステラス製薬
エベレンゾ企業ページ
ERROR: The request could not be satisfied
日本腎臓学会
HIF-PH 阻害薬適正使用に関する recommendation

コメント

タイトルとURLをコピーしました