TRバンドとは|橈骨動脈の止血デバイスの使い方を解説

TRバンド|橈骨動脈の止血デバイス PCI
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TRバンドは、橈骨動脈アプローチ(TRI)で心臓カテーテル検査・治療を行ったあとの穿刺部を圧迫止血する、空気式の止血デバイスです。ポイントは「血流は止めずに止血する(patent hemostasis)」最小圧で使うこと。圧が強すぎたり長すぎたりすると橈骨動脈閉塞(RAO)につながります。

TRバンドとは

TRバンドは、橈骨動脈アプローチ(TRI)の穿刺部を圧迫して止血する空気式の止血デバイスです。手首に巻き、透明バンド内のバルーンに空気を注入して穿刺部を圧迫します。大腿動脈アプローチのように用手圧迫や重しで長時間安静にする必要がなく、装着したまま座位・歩行ができます。
TRバンド:適切な最小圧で血流を保ちつつ止血(patent hemostasis)
TRバンド
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なぜ橈骨動脈アプローチ/TRバンドなのか

橈骨動脈アプローチ(TRI)は、大腿動脈アプローチ(TFI)に比べて穿刺部の出血・血腫などアクセス部合併症が少なく、圧迫解除後は早期に離床・歩行できて患者負担が軽いのが利点です。一方で橈骨動脈は細く、圧迫のしかたによっては橈骨動脈が閉塞(RAO)してしまいます。橈骨動脈は次回のカテーテルや透析シャント・グラフトでも使いたい血管なので、「止血はするが橈骨動脈は温存する(=閉塞させない)」ことが重要になります。これを実現するのがTRバンドと patent hemostasis の手技です。

使い方の手順(装着〜抜去)

  1. 装着:バルーンの目印を穿刺部の中心に合わせて手首に巻く。
  2. 加圧:シースを抜きながら空気を注入し、出血しない最小限の圧にする。注入空気量は18mLを超えない(添付文書)。
  3. patent hemostasis の確認:圧迫している手の示指または母指にパルスオキシメータを付け、尺骨動脈を圧迫した状態で橈骨動脈側の脈波が残ることを確認する(=血流を保ったまま止血できている状態)。
  4. 段階的減圧:一定時間ごと(例:約30分間隔)に少量ずつ空気を抜く。出血が出たら少量をゆっくり再注入し、出血しない最小圧を保つ。
  5. 抜去:完全に減圧して止血を確認できたらバンドを外す。
※具体的な加圧量・減圧間隔は施設プロトコルと患者状態によって異なります。実際の運用は各施設の手順と添付文書に従ってください。

patent hemostasis と橈骨動脈閉塞(RAO)

patent hemostasisとは、橈骨動脈の血流を保ったまま穿刺部だけを止血する考え方です。圧が強すぎたり長すぎたりすると橈骨動脈が閉塞(RAO)します。patent hemostasis を行わない従来の(血流を止める)止血では、橈骨動脈閉塞(RAO)が24時間で約12%・30日で約7%と報告されています。血流を保つpatent hemostasis を徹底するとRAOは有意に低下します(PROPHET試験:Pancholy SB ら, 2008)。橈骨動脈を温存できれば、その後の治療の選択肢を広く残せます。

合併症・観察ポイント

主な合併症は動脈閉塞(RAO)・皮下血腫・出血・腫脹・疼痛・痺れです(添付文書)。装着中は次を観察します。
  • 圧が強すぎるサイン:末梢(指先)の蒼白・冷感・しびれ・疼痛 → RAOや神経障害・皮膚障害のリスク。最小圧か再確認。
  • 圧が弱すぎるサイン:穿刺部からの出血・腫脹・血腫の拡大 → 少量再注入して止血を確保。
  • 減圧の進め方:時間ごとに段階的に減圧できているか、出血なく完全解除まで到達できるか。
  • 記録・申し送り:装着時刻・注入量・減圧の予定/実施を記録し、次に誰がいつ減圧するかを看護師と共有する(減圧忘れ・過圧迫の防止)。

まとめ

  • TRバンドは橈骨動脈アプローチ穿刺部の空気式止血デバイス。橈骨動脈は温存したい血管なので「閉塞させない止血」が前提。
  • patent hemostasis=橈骨動脈の血流を保ったまま止血する最小圧で使い、時間ごとに段階的に減圧する。
  • 観察は末梢の色・冷感・しびれ(圧が強いサイン)/出血・腫脹(圧が弱いサイン)。RAOと出血を早期に察知する。

関連するアプローチ・止血

穿刺・シースについてはシース挿入シース、大腿動脈側などその他の止血は止血デバイスのページを参照してください。

出典

関連記事(PCI手技)

冠動脈の解剖と分類シースシース挿入ガイディングカテーテル止血デバイスDCB(薬剤コーティングバルーン)FFRIVUS →穿刺部位について
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参考

パークローズ アボット
https://www.cardiovascular.abbott/jp/ja/hcp/products/endovascular/perclose-proglide-suture-mediated-closure-system.html
エクソシール カネカ
https://www.kaneka-med.jp/medicalstaff/products/1_intervention/1_cerebrovascular/5_hemostatic-device/1_exoseal/
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