CLTI(包括的高度慢性下肢虚血)とは|WIfI分類・診断・治療をわかりやすく解説

スポンサーリンク
CLTI(包括的高度慢性下肢虚血、Chronic Limb-Threatening Ischemia)とは、足への血流が足りない状態(虚血)に、皮膚や組織の傷(創傷)や感染が加わり、そのままでは足の切断につながりかねない状態のことです。2022年の「末梢動脈疾患ガイドライン」改訂で、従来の「重症下肢虚血(CLI)」に代わって使われるようになった、より実態に即した呼び名です。 大切なのは、血流の悪さ「だけ」で重症度を判断しないことです。糖尿病や透析の患者が増え、傷の大きさ・場所や感染の程度が足の予後を大きく左右すると分かってきました。そこでCLTIでは、虚血・創傷・感染の3つをまとめて評価します。このものさしがWIfI分類です。

まず結論

  • CLTI=血流不足(虚血)+傷(創傷)+感染が重なり、下肢切断の危機がある状態
  • 重症度はWIfI分類で評価(Wound創傷・Ischemia虚血・foot Infection感染を各0〜3で採点)
  • 治療の基本は血行再建(EVT/バイパス)+創傷ケア+感染管理を多職種チームで
  • 血行再建ができない/効かない時の補助として、LDL吸着療法(レオカーナ)などがある
I:虚血(Ischemia)血流不足・ABI/SPP低下W:創傷(Wound)潰瘍・壊疽fI:感染(foot Infection)足の感染CLTI3つが重なる=下肢切断の危機WIfI分類で採点各要素を0〜3 → 大切断リスクを評価
図:CLTIは虚血・創傷・感染の3要素で評価する(WIfI)

CLTIとは|「CLI」からの呼び名の変化

定義は、虚血による安静時痛や下肢の潰瘍・壊死が、2週間以上改善せず続く状態(2022ガイドライン)。従来は「重症下肢虚血(CLI:Critical Limb Ischemia)」と呼ばれていましたが、糖尿病患者の増加などで虚血だけでなく創の部位・大きさ・感染が下肢の予後を大きく左右することが分かり、それらを包括的に捉えるCLTIという用語に置き換わりました。だから「包括的」なのです。

WIfI分類|虚血・創傷・感染の3点で診る

WIfIは Wound(創傷)・Ischemia(虚血)・foot Infection(足部感染)の3要素をそれぞれ0〜3で採点し、1年後の大切断リスクから下肢のステージ(重症度)を決める分類です。治療方針と予後の見立てに使います。

W:創傷(Wound)

グレード内容
0潰瘍・壊疽なし(安静時痛のみ)
1表層潰瘍
2深い潰瘍または局所の壊疽
3踵の潰瘍または広範な壊疽(予後不良)

I:虚血(Ischemia)

虚血グレードABI足趾血圧(TP)・TcPO₂
0≧0.80≧60mmHg
10.60〜0.7940〜59mmHg
20.40〜0.5930〜39mmHg
3<0.40<30mmHg
SPP(皮膚灌流圧)では、grade2が30〜39mmHg、grade3が30mmHg未満に対応します。臨床的にはSPPが30〜40mmHg未満だと創傷治癒は難しく、40mmHg以上なら潰瘍治癒率98%以上が期待できるとされます。血行再建が不適応なASO潰瘍に使うレオカーナの適応の目安は、この虚血の重症側にあたります。

fI:足部感染(foot Infection)

グレード内容
0感染なし
1軽度(局所に限局した感染)
2中等度(局所症状が明らか)
3重度・全身性の感染徴候(SIRS:血圧低下・意識変容・嘔吐・代謝異常など)
この3つのグレードを組み合わせて、下肢を4段階のステージ(ステージ1〜4)に分け、1年後の大切断リスク(低い→高い)と治療の緊急度の目安にします。たとえば虚血の程度が同じでも、傷が大きい・感染が重いほどリスクは上がります。

診断・重症度の評価

虚血の程度は ABISPP・足趾血圧・TcPO₂ と画像(エコー・CT・血管造影)で評価します。糖尿病・透析患者は動脈の石灰化でABIが当てにならないことがあり、その場合はSPPが有用です。臨床工学技士(CE)はSPP測定や、血行再建(EVT)の周辺で関わります。

透析・糖尿病の患者で特に注意

透析患者や糖尿病患者は、CLTIのハイリスク群です。理由は主に3つ。①動脈の石灰化でABIが高めに出て、虚血を見逃しやすい(このためSPPやTcPO₂での評価が重要)②神経障害で痛みを感じにくく、発見が遅れやすい創傷治癒が遅く、小切断・大切断に至りやすい。実際、レオカーナの治験でも対象の約8割が透析患者でした。だからこそ、日常のフットチェックと早期の専門医紹介が特に大切です。
CLTI評価:WIfI + PLAN患者リスク→下肢ステージ→血管パターン血行再建できる?はいいいえ/不成功EVT/バイパス血流を回復補助療法レオカーナ・薬物・HBOT並行:創傷ケア・感染管理・全身管理(多職種)目標:下肢救済・潰瘍治癒
図:CLTI治療の流れ(血行再建を軸に、補助療法・創傷ケアを併用)

治療|血行再建を軸に、創傷・感染・全身をまとめて診る

2022ガイドラインは「PLAN」コンセプトで方針を決めます。Patient(患者の全身リスク)→Limb(WIfIで下肢ステージ)→ANatomy(GLASS分類で血管病変のパターン)の順に評価し、血行再建の可否と方法を選びます。

① 血行再建(EVT・バイパス)=基本

詰まった血管を広げる(EVT)/繋ぐ(バイパス)ことで足の血流を回復させます。膝下(BK)病変の血行再建の見込みはGLASS分類で評価します。

② 創傷ケア

デブリードマン(壊死組織の除去)、陰圧閉鎖療法(NPWT)免荷(オフローディング)で、傷を治す土台をつくります。

③ 感染管理

感染を抗菌薬・外科的処置でコントロール。重度・全身性(WIfI感染グレード3)は緊急対応が要ります。

④ 補助療法

薬物療法(プロスタグランジン製剤など)、LDL吸着療法(レオカーナ)、高気圧酸素療法(HBOT)、和温療法など。レオカーナは、血行再建術が不適応または不成功のASO潰瘍に用いる吸着型血液浄化器です(詳しくは レオカーナとは|吸着型血液浄化器)。

⑤ 集学的チーム(フットケア)

血管外科・循環器・形成外科・皮膚科・糖尿病内科・腎臓内科・看護・リハ・栄養・CEなどが連携。早期の専門医紹介が下肢救済のカギです。

予後

血行再建ができない/不成功の場合、6ヵ月の切断率は約40%(TASC)と報告され、生命予後も不良です。フレイル(虚弱)を合併するとさらに悪化します。だからこそ、早期発見・早期の血行再建・創傷/感染/全身の包括的治療が重要になります。

出典

関連記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました