PCIの手技

PCIの流れについて

治療戦略

 

世界で初めてのPCIは1977年9月16日,Gruentzigらによるバルーンを用いた拡張術(経皮的古典的バルーン血管 形成術:POBA)で幕を開けた 853).その 10 年後の 1986 年 に は S i g w a r t や S e r r u y s ら に よ り ベ ア メ タ ル ス テ ン ト( B M S ) 留置が導入され,特にバルーン拡張後の急性冠閉塞に効果 を発揮することが明らかとなり,急速に普及した 854–856). 一方,当時 BMS 留置例の 30%前後に発生していたステン ト 再 狭 窄 は「 P C I の ア キ レ ス 腱 」と 称 さ れ , 大 き な 問 題 で あった 857, 858).これを克服するため,ステントをプラット ホームとした薬剤溶出技術が開発され,1999 年には Sousa らにより世界初の薬剤溶出性ステント(DES)の留置が行 われた 859).このように PCI はおよそ 10 年ごとに大きな進歩を遂げてきた.
第1世代 DESには超遅発性ステント血栓症(VLST)と いう課題があったが,第2世代の DESによって解決され, あらゆる病態・病変で DES が第一選択の治療となっている.このため,今日 BMS の役割はきわめて限定的である. 実際,2018 年 ESC/EACTS のガイドラインでは,すべてのPCI で新世代の DES が第一選択として推奨されている 64). このようにデバイスの進化によって PCI は安定した成績 が得られるようになったが,多枝病変例や糖尿病合併例の 複雑病変では CABG に匹敵する予後改善効果が示されて いない.そこで,成績向上のためのさまざまな検討が進め られており,予後改善に立脚した 5 つの PCI 基本的治療戦略が推奨されている(表 47).今日の PCI の要といえる.1 つ目は機能的狭窄度評価(虚血の評価)に基づいた PCIである.従来,目視による狭窄度の評価に基づいて(すなわち造影ガイドで)PCI が施行されてきたが,血流予備量比( F F R )に 基 づ い て( す な わ ち 虚 血 ガ イ ド で )P C I を 実 施することの有用性が,DEFER 試験,FAME 試験,FAME2 試験により相次いで報告された 34, 36, 134).DEFER 試験は15 年の追跡結果も報告されており,至適薬物治療の実践により虚血ガイドで PCI を延期することの安全性が示された 35).造影ガイド PCI と薬物治療とを比較した
COURAGE試験とBARI 2D試験では,心血管イベント抑制に関する PCI の優位性は示されていないが 88, 89),虚血ガイドPCIと薬物治療とを比較したFAME 2試験の5年の追跡では,心筋梗塞の抑制におけるPCIの優位性が示された.2 つ目は,血管内エコー検査(IVUS)によるステントの 最適化である.IVUS の効用に関するエビデンスは左冠動 脈主幹部(LMT)病変など複雑病変における PCI に限定さ れていたが,造影ガイドのステント留置と IVUS ガイドの ステント留置のall comers RCT が行われ,DES 時代であっ ても IVUS ガイドのステント留置はさらに成績を向上させ る可能性があることが示された 861).
3つめは,完全血行再建である.SYNTAX 試験において PCIは CABGよりも遠隔期死亡率,心筋梗塞合併率が 高かったが,完全血行再建の割合の違いが一因であると考 察されている 862).不完全血行再建の主たる理由は慢性完 全閉塞(CTO)病変や小血管病変であるが,CTO に対する PCI の成績は近年飛躍的に向上した 863).また,小血管に対 する薬剤塗布バルーン(DCB)は DES に匹敵する成績が期 待できることが BASKET-SMALL試験で明らかになっ た 864).したがって,虚血域の大きさを考慮したうえで完全血行再建を目指すべきである.予後改善のためにはこの 3 つの治療戦略を,個別にではなく統合して実践することが重要である.瞬時血流予備量 比(iFR)ガイドで適応を決定し,IVUS ガイドでステント を留置し,高率に CTO の手技成功を得た SYNTAX II 試験 は,まさに最新の治療戦略を具現した臨床研究であり,こ の試験において PCI は SYNTAX 試験の CABG 群に匹敵す る成績を得ることに成功した 865).それとともに,成熟期を 迎えたといわれる PCI の成績にはまだ改善の余地があるこ とが示唆された.また,SYNTAX II試験は SYNTAX試 験に比較して症例あたりの治療病変数が 4.0 病変から 2.6 病変に,3 枝病変と判断された症例は 83.3%から 37.2%に 減じたと報告している.適切に診断し,最適な PCI を行う ことは,予後改善に寄与するのみでなく,医療経済的な観 点からも合理的な治療戦略であると結論できる.
4 つ目の治療戦略は,出血性合併症と造影剤腎症を考慮 した PCI である.周術期の出血性合併症と造影剤腎症の合 併は予後規定因子であることが報告されている.橈骨動脈 アプローチは出血性合併症のみならず造影剤腎症の予防の 観点からも,大腿動脈アプローチに優ることがメタ解析で 示されている 866, 867).また,腎機能に応じた造影剤使用量 で手技を完結する工夫が肝要である.
そして最後は,糖尿病,高血圧,脂質異常症,肥満,喫煙といった古典的冠危険因子の管理を含めた至適薬物治療に加え,禁煙,食事療法などの生活習慣の是正や運動習慣の獲得の実践である.血行再建後の長期予後は至適薬物治療の有無で大きく異なることが示されており,積極
的にリスクを管理するとともに,虚血イベント抑制と出血性合併症リスクのバランスを考慮した抗血栓療法が重要となる.

 

 

 

 

局所麻酔、穿刺

シースの挿入

ガイディングカテーテルの挿入

造影

ガイドワイヤーを狭窄の遠位部へ挿入

IVUSやOCTで狭窄病変の性質、長さ、血管径を確認

バルーンカテーテルまたはステントを挿入

ステント内のバルーン拡張、ステントの留置

IVUSやOCTで留置したステントの状態確認

造影

ガイドワイヤー抜去

造影(最終確認)

ガイディングカテーテル抜去

シース抜去

 

 

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