食事摂取基準タンパク質

タンパク質

 

タンパク質

血液透析患者のたんぱく質摂取量は慢性腎臓病に対 する食事療法基準 2007 年版およびそれ以前の腎疾患 患者の食事療法手引きにおいて 1.0~1.2 g/kg/日が推 奨されている.2007 年版の作成時以降に血液透析患 者の食事療法に関する臨床研究がいくつか発表されているが,研究が適切にデザインされておらず結果が評価できない,対象患者がわが国の平均的な血液透析患者と大きく異なっている等の理由で,改訂の根拠となりうるものは少ない.その中で Shinaberger らが 53,933 人の血液透析患者に対して行った観察研究では normalized protein equivalent of nitrogen appear- ance(nPNA)で算出したたんぱく質摂取量により患者を10段階に分類し,2年間の生命予後を検討したところ,1.4 g/kg/日以上および 0.8 g/kg/日未満のグ ループでは全死亡に対するハザード比が有意に高かった.本研究を参考にした場合に新たな摂取基準とし て 0.8 g/kg/日以上 1.4 g/kg/日未満という数値が上 がってくるが,食事摂取量には変動があるために本研究の上下限値をそのままわが国の食事指導の上下限値として適用することには問題があると思われる.下限については変動による摂取不足のリスクを回避するために一段階上の 0.9 g/kg/日を提唱した.2007 年版で は下限値を 1.0 g/kg/日としているが,患者の平均年齢がさらに上昇したこと,残存腎機能を有する保存期からの移行期における指導を考慮して,0.9 g/kg/日を 許容範囲とした.また上限値についてはリン摂取量が 増加する危惧があるため 1.2 g/kg/日を提唱する.摂 取たんぱく質の内容はアミノ酸スコアが低くならない よう配慮する必要があるが,具体的な数値を示す根拠 となる研究は見当たらない.この摂取量は本学会血液 透析療法ガイドラインの定める週 3 回 4 時間の標準的 な透析を行っている患者に対する数値とする.家庭透 析などの普及により週あたりの透析量に関してバリ エーションが発生している.これに合わせた形でそれ ぞれの施設で個々人の透析量に応じた食事指導が行わ れているようであるが,現段階では試行段階であり,基準として取りあげるだけのデータが蓄積されていないと考えられる.

今回の報告に関して委員会では推奨摂取量の絶対的な数値よりも摂取状況のモニタリングを重視することが議論された.たんぱく質摂取のモニタリングとしてこれまで行われているのは,食事記録法および標準化蛋白異化率(normalized protein catabolic rate: nPCR)である.いずれの方法も煩雑な部分があり, 多くの患者を管理する施設では日常的に施行してこれを評価するのは必ずしも現実的ではない.しかし患者に摂取量を指導しても実際に摂取しているかどうかを 確認しなければ意味がないので,それぞれの施設で使いやすい評価法を用いて経時的に評価することが勧められる.多くの施設で定期的に測定している透析前の尿素窒素濃度もステロイド投与や消化管出血など他に影響する要素が安定しているという前提下では,ある程度の目安としてたんぱく質摂取量の指導に使用してよいと思われる. また腹膜透析患者においては本学会より 2009 年度版腹膜透析ガイドラインが提唱されており,その中ではたんぱく質摂取量として 0.9~1.2 g/kg/日が示されているが,これを改訂する根拠となる臨床研究は少ないためこの数値を引き続き提唱する.

 

 

 

 

 

 

 

 

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