心房粗動(AFL:Atrial Flutter)とは、心房内を電気が大きな輪を描いてぐるぐる旋回する
マクロリエントリー性の頻拍です。心電図では規則正しい鋸歯状(のこぎり歯)のF波が特徴。とくに右房の決まった通路を回る
通常型(典型的)心房粗動は、回路がはっきりしているため
EPSとアブレーションの相性がよく、根治性の高い治療が可能です。
通常型AFLの回路:三尖弁輪を回り、CTIを通る
通常型心房粗動は、右房で三尖弁輪の周囲を大きく旋回します。この回路の「必ず通る細い通り道」が、
三尖弁輪と下大静脈のあいだの峡部(CTI:Cavotricuspid Isthmus)です。反時計回りに回るものが典型で、下壁誘導(II・III・aVF)で陰性の鋸歯状F波を示します。時計回りに回る非通常型もあります。
EPSでの評価:CTI依存性を証明する
EPSでは、この粗動が本当にCTIを通る回路かどうかを
エントレインメントで確かめます。CTI付近でペーシングし、停止後の復帰周期(PPI)が粗動周期にほぼ一致すれば、そこは回路の一部=CTI依存性が証明されます。
3Dマッピングで旋回の全体像を描くこともあります。
治療:CTIラインを焼灼し「両方向ブロック」を作る
通常型AFLの治療は明快で、
CTIを一直線に焼灼して電気の通り道を断つことです。焼灼線ができると回路が成立しなくなり粗動は止まります。治療の到達点(エンドポイント)は、CTIを挟んで電気が
両方向とも通れなくなる「両方向ブロック」の確認。ここまで達成すると再発が少なく、成功率の高い術式として確立しています。
心房細動との関係
心房粗動と
心房細動は併存することが多く、AFアブレーション後にAFLが出たり、その逆もあります。CTI依存性の通常型AFLがはっきりしていればCTIアブレーションを追加することもありますが、方針は症例ごとに判断されます。非通常型(左房や瘢痕関連)のAFLは回路が複雑で、マッピングの比重が大きくなります。
参考・出典
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