心エコーの基本断面と17分画(16分画)|壁運動の部位と冠動脈支配の対応

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心エコーで「どこの壁が動いていないか」を言うときの共通言語が、左室の17分画(16分画)です。カテ室で冠動脈の番号(AHA分類)と突き合わせるとき、この分画と冠動脈の対応が頭に入っていると話が早くなります。このページは、基本断面・分画の番号・冠動脈支配・壁運動スコアを1か所にまとめたものです。

早見表(このページの要点)

基本断面傍胸骨左室長軸(PLAX)/傍胸骨短軸(大動脈弁・僧帽弁・乳頭筋・心尖部レベル)/心尖部四腔(A4C)・二腔(A2C)・三腔(A3C)/心窩部/胸骨上窩
分画基部 1〜6、中部 7〜12、心尖部 13〜16、心尖冠 17。16分画は17を含まない
冠動脈支配(目安)LAD:1・2・7・8・13・14・17/RCA:3・4・9・10・15/LCX:5・6・11・12・16
壁運動スコア1 正常/2 低運動/3 無運動/4 奇異性運動(5 瘤)。WMSI=合計÷評価した分画数、正常 1.0
断面と分画A4C=中隔(3・9・14)と側壁(6・12・16)/A2C=前壁(1・7・13)と下壁(4・10・15)/A3C・PLAX=前中隔(2・8・14)と下側壁(5・11・16)

基本断面

断面プローブ見えるもの
傍胸骨左室長軸(PLAX)胸骨左縁 第3〜4肋間左室・左房・僧帽弁・大動脈弁・右室流出路。左室径・壁厚・EF(Teichholz)の計測
傍胸骨短軸 大動脈弁レベルPLAXから90°回す大動脈弁の3尖(メルセデスマーク)、左房、右房、三尖弁、右室流出路、肺動脈弁
傍胸骨短軸 僧帽弁レベル同・少し下僧帽弁の前尖・後尖(魚の口)。基部の分画 1〜6
傍胸骨短軸 乳頭筋レベル同・さらに下2つの乳頭筋。中部の分画 7〜12。壁運動を見る基本の断面
傍胸骨短軸 心尖部レベル同・さらに下心尖部の分画 13〜16
心尖部四腔像(A4C)心尖拍動部左右の心房・心室、僧帽弁・三尖弁。中隔と側壁
心尖部二腔像(A2C)A4Cから反時計に60°左房・左室のみ。前壁と下壁
心尖部三腔像(A3C)さらに60°左室長軸に大動脈弁が加わる。前中隔と下側壁
心窩部剣状突起下四腔像・下大静脈(径と呼吸性変動で右房圧を推定)
胸骨上窩胸骨上のくぼみ大動脈弓・下行大動脈
短軸の3つのレベル(僧帽弁・乳頭筋・心尖部)が、そのまま基部・中部・心尖部の分画に対応します。

17分画(ブルズアイ)

1234567891011121314151617前壁(anterior)下壁(inferior)中隔(septal)側壁(lateral)LADRCALCX外側=基部、内側=心尖部
外側のリングが基部(1〜6)、真ん中が中部(7〜12)、内側が心尖部(13〜16)、中心が心尖冠(17)。上が前壁、下が下壁、左が中隔、右が側壁です。

番号基部(1〜6)番号中部(7〜12)番号心尖部(13〜17)
1前壁 anterior7前壁 anterior13前壁 anterior
2前中隔 anteroseptal8前中隔 anteroseptal14中隔 septal
3下中隔 inferoseptal9下中隔 inferoseptal15下壁 inferior
4下壁 inferior10下壁 inferior16側壁 lateral
5下側壁 inferolateral11下側壁 inferolateral17心尖冠 apical cap
6前側壁 anterolateral12前側壁 anterolateral
16分画と17分画の違い:17分画は心尖冠(17)を含みます。壁運動評価では心尖冠は動きを評価しにくいので、16分画で数えることが多く、心筋血流シンチや MRI との対応では17分画を使います。

冠動脈支配との対応

冠動脈分画壁
LAD(左前下行枝)1・2・7・8・13・14・17前壁・前中隔・心尖部
RCA(右冠動脈)3・4・9・10・15下中隔・下壁
LCX(左回旋枝)5・6・11・12・16下側壁・前側壁・側壁
これは右優位の標準的な配分で、個人差があります。特に下中隔(3・9)・下壁の心尖部(15)・側壁の心尖部(16)は、優位性や分枝のパターンによって支配が入れ替わります。実際の判断は冠動脈造影と突き合わせてください。

カテ室での使い方:たとえば「前壁と心尖部が無運動」なら LAD、「下壁と下中隔」なら RCA、「側壁だけ」なら LCX を疑う、というように、壁運動の分布から責任血管の当たりを付けることができます。冠動脈の番号は 冠動脈の解剖と分類(AHA分類) を参照。

壁運動スコアとWMSI

スコア壁運動意味
1正常(normal)または過収縮収縮期に内側へ動き、壁が厚くなる
2低運動(hypokinesis)動きと壁厚の増加が減っている
3無運動(akinesis)動かない、壁厚が増えない
4奇異性運動(dyskinesis)収縮期に外側へ膨らむ
5瘤(aneurysm)拡張期から変形している(施設・文献により4に含める)
WMSI(wall motion score index)=各分画のスコアの合計 ÷ 評価した分画の数。全部正常なら 1.0。数字が大きいほど広く・強く障害されている。

どの断面でどの分画が見えるか

断面見える分画
心尖部四腔像(A4C)下中隔 3・9・14、前側壁 6・12・16(心尖 17)
心尖部二腔像(A2C)前壁 1・7・13、下壁 4・10・15(心尖 17)
心尖部三腔像(A3C)・PLAX前中隔 2・8・14、下側壁 5・11・16(心尖 17)
短軸 僧帽弁レベル1〜6
短軸 乳頭筋レベル7〜12
短軸 心尖部レベル13〜16
心尖部の3断面(四腔・二腔・三腔)で 基部から心尖部まで全部の壁が1回ずつ見え、短軸の3レベルで同じ分画をもう一度確認する、という組み合わせです。

覚え方

・上が前壁、下が下壁、左が中隔、右が側壁。ブルズアイを上から時計回りに 1 → 6 → 5 → 4 → 3 → 2(前壁 → 前側壁 → 下側壁 → 下壁 → 下中隔 → 前中隔)。
・中部は基部に +6(1→7、2→8 …)。
・心尖部は 4 つ:前・中隔・下・側壁の順で 13〜16。
・冠動脈は「前と中隔は LAD、下は RCA、側壁は LCX」。

関連記事

心エコー/心エコーに必要な略語/冠動脈の解剖と分類(AHA分類)/右心カテーテル検査

参考:Lang RM, et al. Recommendations for Cardiac Chamber Quantification by Echocardiography in Adults. J Am Soc Echocardiogr 2015(ASE/EACVI)/Cerqueira MD, et al. Standardized Myocardial Segmentation and Nomenclature for Tomographic Imaging of the Heart. Circulation 2002(AHA 17分画)

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