慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CDK-MBD)

CKD-MBDについての考え方を紹介します。

CKD-MBD

CKD-MBD
Chronic Kidney Disease-Mineral and Bone Disorder
慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常 はじめに CKD-MBD に関連した検査として,
血清 P,
Ca 濃度,
アルブミン(Albumin:Alb)濃度,
血清 PTH 濃度,
アルカリフォスファターゼ(Alkaline phosphatase:ALP)
値の測定する。
検査するタイミング
週の初回透析開始時の値を用いる 測定頻度
血清 P,Ca 濃度は最低月に 1∼2 回の測定(著しく逸脱した場合,その値が安定するまでより頻回の測定)
PTH は通常 3 か月に 1 回測定(逸脱した場合,安定するまで月に 1 回の測定) 管理目標値 血清 P 濃度の目標値 3.5∼6.0 mg/dL
血清補正 Ca 濃度の目標値 8.4∼10.0 mg/dL
PTH は intact PTH 60 pg/mL 以上 240 pg/mL 以下の範囲に管理する
    (whole PTH:35~150pg/mL)
Ca値
炭酸Ca↓
Ca非含有P吸着薬↓
活性型ビタミンD↓
炭酸Ca↓
Ca非含有P吸着薬へ
  切り替え
活性型ビタミンD↓
シナカルセト↑
炭酸Ca↓
Ca非含有P吸着薬↑
活性型ビタミンD↓
シナカルセト↑
10.0
Ca非含有P吸着薬↓
炭酸Cα↓
活性型ビタミンD↑
P, Ca管理目標値Ca非含有P吸着薬↓
炭酸Ca↑
活性型ビタミンD↓
シナカルセト↑
8.4
Ca非含有P吸着薬↓
炭酸Caの食間投与
活性型ビタミンD↑
シナカルセト↓
炭酸Ca↑
炭酸Caの食間投与
活性型ビタミンD↑
シナカルセト↓
炭酸Ca↑
Ca非含有P吸着薬↑
シナカルセト↓
3.56.0→P値
透析患者に用いられるビタミンD製剤
半減期投与量
カルシトリオール16.2時間
マキサカルシトール39.3~62.2分
アルファカルシドール29.4時間
ファレカルシトリオール61.1時間

ルーチン検査の基本的管理

CKD-MBD に関連したルーチン検査として,血清 P,Ca 濃度,アルブミン(Albumin:Alb)濃度, 血清 PTH 濃度,アルカリフォスファターゼ(Alkaline phosphatase:ALP)値の測定が望ましい.

病態の評価や治療方針の決定において,1 回の検査結果ではなく,検査値の動向から判断することを推奨する.

週の初回透析開始時の値を用いるのが妥当である.

II.測定頻度
血清 P,Ca 濃度は最低月に 1∼2 回の測定が妥当である.
血清 P,Ca 濃度が管理目標値から著しく逸脱した場合,あるいはその危険性が高い場合には,その値が安定するまでより頻回の測定が望ましい.
PTH は通常 3 か月に 1 回測定する.ただし,管理目標値から逸脱した場合,治療の変更や高 PTH血症に対する積極的な治療(静注活性型ビタミン D 製剤,シナカルセト塩酸塩,インターベンション) を施行中では,安定するまで月に 1 回の測定が望ましい.

血清 P,Ca 濃度の管理

血清 P,補正 Ca 濃度の管理目標値

&) 血清 P 濃度の目標値 3.5∼6.0 mg/dL
&) 血清補正 Ca 濃度の目標値 8.4∼10.0 mg/dL
II.P,Ca の管理目標値からの治療指針
&) 血清P濃度,血清補正Ca濃度,血清PTH濃度の順に優先して,管理目標値内に維持することを推 奨する(1C,図 1 を参照).
&) 血清 P 濃度もしくは血清補正 Ca 濃度が持続して高い場合は,速やかな治療法の変更を推奨す る1,2,3(1B).
&) 原則として,血清P濃度,血清補正Ca濃度を管理した上で,血清PTH濃度を管理目標値内に保つ よう活性型ビタミン D 製剤もしくはシナカルセト塩酸塩の投与を調整することが望ましい(2D). &) 血清 PTH 濃度が高い場合は,P,Ca を管理する一つの方法としてシナカルセト塩酸塩の投与を考
慮することが望ましい
4(2D).

副甲状腺機能の評価と管理

PTH の管理指針

&) PTH は intact PTH 60 pg/mL 以上 240 pg/mL 以下の範囲に管理することが望ましい12(2D).
&) 血清 P,Ca の管理は PTH の管理に優先することが推奨される(1D). II.PTH が管理目標を逸脱した場合の治療
&) PTH が管理目標上限値を持続して超える場合には,まず P/Ca 代謝の改善,活性型ビタミン D 製 剤やシナカルセト塩酸塩の使用,などの内科治療で PTH の低下を図る34(2・グレードなし).
&) 内科治療を行っても血清P,Ca,PTHの三つの値を同時に管理目標内に維持できない場合には,副 甲状腺インターベンション治療の適応を検討することを推奨する(1B).

副甲状腺インターベンションの適応と方法

I.内科的治療に抵抗する高度の二次性副甲状腺機能亢進症*1に対しては,PTx を推奨する(1B). II.腫大副甲状腺が 1 腺のみで穿刺可能な部位に存在する場合,PEIT を考慮することは妥当である.

骨代謝の評価と管理

&) PTH は第 3 章に定める管理目標値内に維持する12(2・グレードなし).
&) ALP など骨代謝マーカーの測定値は施設標準値内に維持する*3(2・グレードなし).
&) 骨痛,繰り返す病的骨折,骨折治癒の遷延など,治療介入を要する骨症状を有し,その原因をほかの手段によって解明することが困難な場合には骨生検の適用を考慮する(2・グレードなし).

透析アミロイドーシス関連骨症の診断と治療

&) 透析アミロイドーシスに伴う骨合併症は画像的手法によって診断することを推奨する1(1B). &) 透析アミロイドーシスに伴う骨合併症の発症・進展を遅延させるためには,血液浄化療法の工夫をすることが望ましい2(2C).

血管石灰化

I.血管石灰化は透析患者において頻度が高く,生命予後に影響を与える重要な因子であるので,必要に 応じてその評価を行うことが望ましい(2A).
II.大動脈や大動脈の石灰化を,胸部,腹部,骨盤部あるいは腰椎側面の単純 X 線にて確認することが 望ましい1(2B).
III.必要に応じて腹部単純 CT による大動脈石灰沈着面積の評価や冠動脈 CT での冠動脈石灰化スコアの 評価を行うことが望ましい
2(2A).
IV.血管石灰化の進行予防においては,Ca・P 代謝の調節,特に P のコントロールが大切で,可能であれ ば Ca 非含有 P 吸着薬の使用が推奨される(1B).

腹膜透析患者における CKD-MBD

I.腹膜透析(peritoneal dialysis:PD)療法は連続的な浄化法であるため,治療タイミングにかかわら ず血中 Ca,P,PTH 値は比較的一定の値を示す.この点は,1 回の治療によりこれらの血中濃度が変 化する血液透析(hemodialysis:HD)との大きな違いである(グレードなし).
II.PD 患者の P,Ca,PTH の目標値は HD 患者に準ずる.ただし HD 患者では透析前値を基準値として いるため,PD 例においては,これらの値が HD 例における正常上限でも増悪傾向にあれば,是正を開 始することが妥当である(グレードなし).
III.適正な P 値を維持するために,食事 P 制限,P 排泄のための残存腎機能の保持,適宜な P 吸着薬の処 方が推奨される(1B).
IV.2.5 mEq/L Ca 濃度透析液の使用により高 Ca 血症発現の頻度は抑制され,低回転骨が是正される. その一方で,二次性副甲状腺機能亢進症が進行する可能性も指摘されている.同液の処方に際しては, この点に留意することが推奨される(1C).

保存期 CKD-MBD

I.測定すべき項目とその頻度
&) 血清 P,Ca,PTH,ALP 値の測定は,CKD 3 から開始することを推奨する(1C).
&) 血清 P,Ca,ALP 値の測定は,CKD 3 では 6∼12 か月ごと,CKD 4 では 3∼6 か月ごと,CKD 5 では 1∼3 か月ごとに行うのが妥当である1(グレードなし).
&) PTH 値は CKD 3 でベースライン値を測定し,以降,CKD 4 では 6∼12 か月ごと,CKD 5 では 3∼6 か月ごとに行うのが妥当である
1(グレードなし).
&) 骨密度検査の実施は,CKD 1∼2 の患者,および生化学異常を有さない CKD 3 の患者では,一般人口と同様にその適応を考慮することが望ましい2(2B).
&) 骨代謝マーカーの測定は,CKD 1∼2 の患者,および生化学異常を有さない CKD 3 の患者では,一般人口と同様にその適応を考慮することが望ましい
23(2C).
&) 保存期 CKD 患者における骨生検の適応は,透析患者での適応に準ずる(グレードなし).
II.各測定項目の管理目標と治療法
&.血清 P,Ca 値の管理
&) 血清 P,Ca 値は,各施設の基準値内に維持することが望ましい(2C).
&) 血清 P 値の管理は,食事の P 制限や P 吸着薬
4による治療によって行うのが妥当である(グレードなし).
&) 血清 Ca 値の管理は,Ca 含有 P 吸着薬や経口活性型ビタミン D 製剤5の投与,およびその投与量の調節によって行うのが妥当である(グレードなし). &.PTH 値の管理
&) PTH 値が基準値上限を超える場合,この是正を考慮することは妥当である(グレードなし).
&) PTH 値の管理は,食事での P 制限,P 吸着薬の投与,または経口活性型ビタミン D 製剤の投与によって行うのが妥当である(グレードなし).
&) PTH 値の管理の結果,血清 P,Ca 値の異常および腎機能の悪化をきたさないようにすることを推奨する
6(1C).
&.脆弱性骨折予防のための薬物開始基準2を満たす場合,CKD 1∼2 の患者では,一般人口と同様の骨粗鬆症治療を推奨する(1A).生化学異常を有さない CKD 3 の患者でも,一般人口と同様の治療方針 が望ましい7(2B). 透析トップページ MEトップページ

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