この分野で問われるのは
「上がるか、下がるか」ばかりです。ホルモン・電解質・酸素解離曲線・低体温・血液希釈——全部、向きを覚えれば選択肢が切れます。 →
体外循環と血液の過去問と解説
① 体外循環中に上がるもの・下がるもの
| 上がる | 下がる |
|---|
| カテコラミン(アドレナリン) | インスリン分泌(膵血流が減るため) |
| レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系 | 血中カルシウム |
| バソプレシン | 血中ナトリウム |
| 炎症性サイトカイン(IL-6など) | T細胞・NK細胞の活性 |
| 血糖 | — |
原則は1行です。
体外循環は身体にとって強いストレスなので、ストレスホルモンは全部上がる。下がるのはインスリンだけ。「アドレナリン分泌は低下」「バソプレシン分泌は低下」「インスリン分泌は亢進」——この3つは
全部✕です。
② カリウム(この分野の最頻出)
| カリウムが上がる | カリウムが下がる |
|---|
| 溶血 | インスリン投与(細胞内へ移動させる) |
| 赤血球液(保存血)の充填 | フロセミド(利尿薬) |
| 心筋保護液の注入(=高カリウム液) | 低体温 |
| 代謝性アシドーシス | 代謝性アルカローシス |
| よく出る言い回し | 正誤 |
|---|
| 人工心肺中は高カリウム血症になる | ✕ 一般には低カリウムになる |
| 心筋保護の心停止には低カリウム液を用いる | ✕ 高カリウム液 |
| 溶血すると低カリウム血症になる | ✕ 高カリウム |
| 低カリウム血症では不整脈が出やすい | ◯ |
| カルシウム投与 | 高カリウム血症の治療側(原因ではない) |
覚え方:
細胞が壊れる(溶血・保存血)と出てくるから上がる。インスリンは細胞の中にしまうから下がる。アシドーシスは水素イオンと引き換えにカリウムが外へ出るので上がる、アルカローシスはその逆です。
③ カルシウムとナトリウム
| 項目 | 体外循環中 |
|---|
| カルシウム | 低下。とくに保存血を使うと、抗凝固のクエン酸がカルシウムと結合して低カルシウムになりやすい |
| ナトリウム | 低下(低ナトリウムになりやすい) |
④ 酸素解離曲線
まず定義から。
酸素解離曲線は「酸素飽和度」と「酸素分圧」の関係を表した曲線です。「酸素
含量と酸素分圧の関係」は✕。
| 右方移動(酸素を離しやすい) | 左方移動(酸素を離しにくい) |
|---|
| アシドーシス | アルカローシス |
| 高体温 | 低体温 |
| 2,3-DPG 増加 | 2,3-DPG 低下 |
| 二酸化炭素分圧 増加 | 二酸化炭素分圧 低下(低二酸化炭素血症) |
| — | 血液希釈 |
覚え方:
「組織が働いている状態」=熱い・酸っぱい・CO₂が多い → 酸素を渡す → 右。その逆が左です。
「高体温では同じ酸素分圧でも酸素飽和度が低下する」は、右方移動を言い換えただけなので
◯です。
⑤ 低体温体外循環の影響
| 低下する | 増加する |
|---|
| 酸素消費量 | 末梢血管抵抗 |
| カテコラミン活性 | 血液粘稠度 |
| 血液凝固能 | — |
| カリウム | — |
「末梢血管抵抗
低下」「血液凝固能
亢進」「血液粘稠度
低下」——この3つは全部✕です。
冷やすと縮んで固まりにくく、ドロッとすると覚えます。
⑥ 血液希釈
| 問われ方 | 正しい |
|---|
| 充填量の大きい人工心肺 | 希釈率は高くなる |
| 小児 | 循環血液量が小さいので希釈率は高くなる(低くなるは✕) |
| 希釈限界 | ヘマトクリット約20%(10%は✕) |
| 希釈率が高いほど酸素運搬能 | 低下する(高まるは✕) |
| 希釈率が高いほど末梢循環抵抗 | 減少する |
⑦ 血液・免疫への影響(数字を1つだけ覚える)
| 項目 | 正しい | 出てくる誤り |
|---|
| 送血ポンプ | 溶血の原因になる | — |
| T細胞・NK細胞の活性 | 低下する | — |
| 顆粒球 | 開始直後に一過性に減少 | 増加 |
| 血小板 | 30〜50%減少 | 70〜80% |
| 溶血したときのハプトグロビン | 減少する | 増加 |
ハプトグロビンは
遊離したヘモグロビンを回収して消費されるタンパクなので、溶血すると減ります。
⑧ 混合静脈血酸素飽和度(SvO₂)
| 問われ方 | 正しい |
|---|
| 測り方 | パルスオキシメータでは測れない(あれは動脈血 SpO₂ 用) |
| 過度の血液希釈 | 低下する |
| 血液加温時・復温時 | 酸素需要が増えるので低下する(上昇は✕) |
| 50% | 嫌気性代謝が進行する |
| 80% | 酸素供給は足りている(低心拍出量を意味する、は✕) |
SvO₂は
「配った酸素のうち、使われずに戻ってきた分」です。だから
需要が増える(加温・復温)と下がり、供給が減る(希釈)と下がる。低いほど危ない、と覚えます。
⑨ 抗凝固と離脱の手順
| 問われ方 | 正しい |
|---|
| ACTの目標 | 400秒以上。ヘパリンコーティング回路を使っても400秒以上を保つ |
| アンチトロンビンIII欠損症 | ATIII製剤を投与する(ヘパリンを減量するのではない) |
| 抗血小板薬・ワルファリン投与例 | ヘパリンを減量しない(術前に休薬する) |
| ACTが延長したとき | 術中にプロタミンは投与しない |
| 人工心肺離脱に向けて行うこと | ◯✕ |
|---|
| 復温 | ◯ |
| 換気再開 | ◯ |
| 電解質補正 | ◯ |
| 心腔内の空気抜き | ◯ |
| プロタミン投与 | ✕(離脱してから) |
プロタミンはヘパリンを中和する薬です。
まだ回路が回っているうちに入れたら固まってしまうので、離脱してから。
⑩ 血液ガスの読み方(まれに出る)
手順は3ステップです。
①pHでアシドーシスかアルカローシスか ②PCO₂を見る(呼吸性) ③HCO₃⁻を見る(代謝性)
| 出題例 | 読み方 |
|---|
| pH 7.69 / PCO₂ 28mmHg / HCO₃⁻ 33mEq/L | pH↑=アルカローシス/PCO₂↓=呼吸性アルカローシス/HCO₃⁻↑=代謝性アルカローシス → 呼吸性+代謝性アルカローシスの混合障害 |
両方が同じ向きを指していたら「混合障害」です。片方が代償で逆を向いていれば単独の障害。
⑪ そのほか、1回だけ出たもの
| 項目 | 正しい |
|---|
| 小児の体表面積あたりの灌流量 | 成人より多い |
| 炭酸水素ナトリウム | アシドーシスの補正に使う(アルカローシスではない) |
| 膠質浸透圧の保持 | アルブミン(乳酸加リンゲルではない) |
※第29回午後70問は「正しい選択肢を含む組合せが無い」として正解なしになった問題です。上の3つだけ押さえれば十分です。
→ 過去問で確認する
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