LDL吸着で血液循環の改善させる血液浄化器のレオカーナ

透析
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レオカーナとはカネカから発売された吸着型血液浄化器です。
LDL及びフィブリノーゲンの吸着による血液レオロジーの改善により、閉塞性動脈硬化症患者の末梢血液循環の改善を導き難治性潰瘍を治療することを目的に使用できます。

包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)とは?

CLTIは虚血、創傷そして感染によって下肢の存続が危ぶまれる臨床的に特殊な状態である。
リスク評価 (組織欠損及び感染の重症度)、そして早期の血管専門医への紹介が集学的治療による下肢救済に必須である。
可及的速やかな血行再建術(血管内治療・外科的バイパス術)が適応となる。

CLTIは、WIfI分類を用いた4つの病態を包括して示す用語

・安静時疼痛があり、WIfl grade 3の虚血を認める下肢
・虚血要素は軽度でも感染により創傷治癒が遅延した糖尿病性足病変
・週間以上治癒しない潰瘍のある下肢
・壊死を認める下肢
WIflとは
W (wound 創傷:傷の大きさ)
I(ischemia虚血:血流の巡り重症度)
fl (foot infection 足部感染:感染の重症度)
ただしCLTIは下肢動脈疾患(LEAD. lower extremity arterydisease)による虚血要素が少なからず病状に反映されていることが条件となる。 『ESC/ESVS 2017 PAD(末梢動脈疾患)の診断と治療に関するガイドライン 日本血管外科学会ガイド

CLTIの治療

ここではCLTI患者さんの治療方法について詳細に説明します。

創傷治療

足にできた潰瘍、壊などの傷(一般的に創傷とよぶ)は感染、壊死した組織をそのままにしておくと治りにくくなりますのでこれを取り除く必要があります。
創傷処置の前に十分な血流が確保されているかの確認も重要です。

デブリードマン

外科的に切除したり、薬を塗って壊死した組織を分解することで創傷を清浄化し、他の組織への影響を防ぎます。
※マゴットセラピー
無菌状態で繁殖させた医療用の蛆 (ウジ)を使って壊死した組織や膿を食べさせて創傷を清浄化します。

陰圧閉鎖療法

創傷部分を彼覆キットを使用して密閉し、吸引ポンプにより陰圧をかけることによって治癒を促進させます。

血行再建術

外科的バイパス術

血管の閉塞部位の上下に血管(自己、人工)をつないで、新しい血液の通り道(バイパス)を作ります。

血管内治療

血管の狭容や閉塞部をカテーテルやステントによって拡張し、血流を回復させる治療方法です。

CLTIの治療

補助療法として

創傷治療や血行再建術(血管内治療やバイパス術)のみで臨床経過が十分でない場合もしくは何らかの理由で血行再建術が困難な場合は以下のような治療も併用します。

薬物療法(プロスタンディン製剤による点滴)

血管拡張作用から血流改善を認め、創傷改善させた報告があります。

血液净化療法

血液・血漿の粘度の低下及び血管を広げる治療でCLTIに重要な下肢の血流改善に効果があります。

高気圧酸素療法(HBOT)

大気圧よりも高い気圧環境の中で高濃度の酸素を吸入することによって、血液中の酸素運搬能力を高め、足部の組織改善を図ります。

和温療法

足部を温水浴による熱刺激によって血管を広げ、血液の流れを改善します。

血液浄化療法(アフェレシス療法)とは

体外循環*によって血中から病気の原因となる因子(タンパク質やタンパクと結合して血中に存在する病因物質や細胞<リンパ球、顆粒球、ウイルスなど>)を除去し、病態の改善を図る治療法です。
※体外循環:人工的にポンプ等により体外へ血液を導き出し、血液回路を通して血液の操作を行い、再び体内へ血液を戻す一連の動作をいいます。
血液浄化療法には、主に次の3種類の方式があります。

単純血漿交換療法(plasma exchange:PE)

血漿分離器により分離された血漿成分を排液し、新鮮凍結血漿又はアルブミン溶液を用いて置換する方法です。

血漿灌流療法(plasma perfusion:PP)

血漿分離器により分離された血漿成分を吸着器に通し、病因物質だけを選びだし除去、あるいは血漿分離器より細かい節の血漿 成分分離器に通すことで、大分子量番白質を除去し、アルブミン等の小分子量 白を補充液とともに体内に戻す方法です。

直接血液灌流療法(direct hemoperfusion:DHP)

血液を直接吸着器に通し、病因物質だけを選びだし除去する方法です。

吸着型血液浄化器(レオカーナ)


LDLおよびフィブリノーゲンの吸着による血液流動性の改善により、閉塞性動脈硬化症の末梢血液循環の改善を導き難治性潰瘍を治療することを目的とする。

レオカーナ使用目的

血行再建不適応な閉塞性動脈効果症(ASO)における潰瘍の改善を目的に使用する

対象患者

血行再建術不適応な潰瘍を有するASO(Fontaine IV)患者

閉塞性動脈硬化症及び血行再建術不適応な患者の判断基準

下肢潰瘍を有し、血行再建術ができない(不適応)、もしくは、実施しても術が不成功や再狭窄などで潰瘍が改善しない(不応答)ASO 患者。
不適応・不応答の例を以下に示すが、これらのみに限定されない。
  • 解剖学的困難
  • 血行再建術が手技的に不成功
  • 血行再建術が臨床的に不成功
  • その他の理由

治験成績

血行再建不適応の潰瘍・壊疽を有する閉塞性動脈硬化症患者に対して、治療開始後24週間の観察期間内で、

対象病変治癒率 45.9%

一般社団法人 日本フットケア・足病医学会策定「閉塞性動脈硬化症の潰瘍治療における吸着型血液浄化器に関する適正使用指針 第1版(2021年)」より抜粋

治療スケジュール例

治療時間など
治療時間:1 回の治療は約 2 時間とする。
治療頻度:週 2 回の実施を基本とする。
治療間隔:中 1 日以上空ける。
抗凝固薬:原則ヘパリン(非分画)とする。
血液流速:最高 200mL/分とするが、患者の状態を観察しながら、段階的に上昇 させる。

償還価格

保険償還価格:91,600円
技術料:1,680点

吸着メカニズム

陰性(-)荷電を持つデキストラン硫酸と疎水性のトリプトファンをセルロースビーズ表面に化学的に固定しています。
血液中のLDLが陽性(+)に荷電したアポ蛋白Bをもつため陰性(-)に荷電したデキストラン硫酸との静電気相互作用により吸着され、フィブリノーゲンがトリプトファンとの疎水性相互作用により吸着されます。

吸着体の性質(in vitro試験)

健康人血漿を2時間吸着させた後、各項目を測定
(試験実施施設:株式会社カネカ)

構造および仕様

カラム本体:ポリプロピレン
吸 着 体:デキストラン硫酸及び L- トリプトファンを固定化したセルロースビーズ
吸着体容量:250mL
充 填 液:クエン酸とクエン酸ナトリウムの混合水溶液
滅 菌 法:高圧蒸気滅菌

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参考
カネカのレオカーナ情報ページ
https://www.kaneka-med.jp/medicalstaff/products/2_apheresis/1_refractory-leg-ulcer-disease/1_adsorption-type-blood-purifier/1_leocana/pdf/option.pdf 製品カタログ
https://www.kaneka-med.jp/medicalstaff/products/2_apheresis/1_refractory-leg-ulcer-disease/1_adsorption-type-blood-purifier/1_leocana/pdf/e-catalog.pdf 添付文書
https://www.kaneka-med.jp/medicalstaff/products/2_apheresis/1_refractory-leg-ulcer-disease/1_adsorption-type-blood-purifier/1_leocana/pdf/attach.pdf
閉塞性動脈硬化症の潰瘍治療における 吸着型血液浄化器に関する適正使用指針 第1版
2021 年 2 月
一般社団法人 日本フットケア・足病医学会
https://jfcpm.org/docs/oshirase/kaiyouchiryou_20210225.pdf

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