CART:腹水濾過濃縮再静注法

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CART(Cell-free and Concentrated Ascites Reinfusion Therapy)についてまとめました。

CART : 腹水濾過濃縮再静注法

CARTとは


CART(Cell-free and Concentrated Ascites Reinfusion Therapy)の略

腹水症(胸水症)患者の腹水(胸水)を採取し、それを濾過、濃縮して、患者に再静注する治療法
お腹の中に溜まった水を抜き、それを綺麗にして静脈に戻す 

CARTの特長

QOLの改善
・自覚的苦痛の軽減
・循環血漿量の増加
・腹圧の軽減
・血漿浸透圧の上昇
・貯留間隔の延長
お腹の水を抜くことでお腹の張りや苦痛が和らぐ
お腹の水の中にあるアルブミンが血管内に戻されてることで浸透圧があがる
アルブミン製剤の節減
・自己蛋白の使用により、アルブミン製剤の節約が可能
・自己蛋白の使用により、未知の病原因子による感染症の危険性がない
自分の体液を使うので、他の薬を使う必要がない
また、細菌の感染がない(もし細菌がいてても元々いてる細菌)

濾過法

ポンプ式
落差式

施行方法

腹水採取
Point1 採取量:初回の採取量は3,000mLを目安とする。
採取速度:1,000〜2,000mL/hrを目安とする。
【輸液する場合】
(採取腹水量-濃縮後腹水量)の1/2〜1/3を目安とし、電解質やアミノ酸を輸液する。
腹水濾過濃縮処理
Point2 腹水処理速度(腹水濾過開始から濃縮終了までの速度)は、3,000mL/hr以下、好ましくは1,000〜2,000mL/hrにする。
【濃縮倍率】
原腹水の蛋白濃度を事前に測定し、濃縮率を適切に設定する。
腹水再静注
Point3 濾過濃縮後腹水の静注速度は100〜150mL/hrとする。
【濾過濃縮腹水の再静注】
濾過濃縮腹水は高濃度の蛋白を含むため、再静注の際は輸血セットを使用する。

保険適用

K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法
特定保険医療材料名称材料価格手術料
腹水濾過器、濃縮再静注用濃縮器63,700円(回路含む)胸水・腹水濾過濃縮再静注法 4,990点

(厚生労働省告示第六十一号・令和2年3月5日)
(厚生労働省告示第五十七号・令和2年3月5日)
診療報酬算定方法に伴う実施上の留意事項について

K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法
一連の治療過程中、第1回目の実施日に、1回に限り算定する。なお、一連の治療期間は2週間を目安とし、治療上の必要があって初回実施後2週間を経過して実施した場合は改めて所定点数を算定する。
(保医発0305第1号・令和2年3月5日)
特定保険医療材料の定義について

腹水濾過器、濃縮再静注用濃縮器(回路を含む。)
次のいずれにも該当すること。
(1)薬事承認又は認証上、類別が「機械器具(7)内臓機能代用器」であって、一般的名称が「腹水濾過器」又は「腹水濃縮器」であること。
(2)難治性胸水、腹水症等の患者について、当該患者の胸水又は腹水中の自己有用蛋白成分の再利用を行うことを目的に、患者胸水又は腹水中の除菌、除細胞等を行う濾過器及び濾過後の胸水又は腹水を適正な有用蛋白成分濃度に調整する濃縮器(回路を含む。)であること。
(保医発0305第12号・令和2年3月5日)
包括評価制度(DPC)における診療報酬算定について

「K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法」は、手術の部で算定されます。
手術の部で算定する特定保険医療材料及び手術料は出来高による算定が可能ですので、CARTにかかる材料価格、手術料は、出来高で算定が可能です。

腹水

腹水とは
・血液中の血漿成分が腹腔に貯留した状態
分類
非炎症性腹水:肝硬変
炎症性腹水:癌 難治性腹水
安静、食事制限、薬物療法で改善しない腹水 難治性腹水の治療法
腹水濾過濃縮再静注法(CART)
・腹水穿刺廃液(LVP)+アルブミン静注
・腹膜−静脈シャント(PVシャント)
・経頸静脈肝内門脈大循環短絡術(TIPS)

腹水貯留の原因
非炎症性腹水(漏出液)
アルブミン不足:肝硬変でアルブミン減少
門脈圧上昇:肝疾患により消化管、脾臓、肝臓へ血液を送る門脈の圧力上昇→リンパ液が腹腔内に漏出
水、ナトリウム排出低下:尿が出にくくなり、体内の水が増加
原因疾患:うっ血性心不全、肝硬変、ネフローゼ症候群、

炎症性腹水(滲出液)
炎症性の疾患や悪性腫瘍により血管の透過性が亢進→血管から血漿成分滲出
原因疾患:細菌性腹膜炎、癌性腹膜炎、胃癌、肝癌、大腸癌、胆道癌、膵癌、急性肺炎、卵巣癌、子宮癌

腹水

腹腔に通常より水がたくさん貯まった状態のこと お腹にある臓器をつつむ膜の腹膜は、臓器と臓器の摩擦を少なくするために腹腔(ふくくう)とよばれるすきまをつっている。腹腔には通常20〜50mLの水が入っているが、さまざまな病気の影響で通常よりたくさん貯まった水、または状態を腹水という。

腹水の原因

1.肝硬変などによる血液中のアルブミンの低下 肝硬変などにより、アルブミンをつくる機能が低下します。血液中のアルブミンが少なくなると、血管の外に漏れ出た水分を血管内に戻すことができなくなり、腹水がたまります。 血液中のタンパク質の一つに「アルブミン」があります。アルブミンは、血管中に水分を保ったり、水分を血管の中に引き込む働きをしています。 アルブミンの低下により水分が血管の外に漏れ出る 2. 病気やがんなどによるもの 炎症性の病気やがんなどにより、血管から血液成分や水分がしみだしやすくなり、腹水がたまります。 胃がんなどにより血管から白血球や赤血球がしみだしやすくなる
胃がん、卵巣がん、膵がん 3. その他の原因 その他にも、門脈圧の上昇など 腹水
血球、がん細胞、細菌、蛋白質(アルブミン、フィブリン、グロブリン)、電解質、水 一般の治療(食事、薬ループ利尿薬)で改善されない腹水
→難治性腹水 ↓ CART 白血球→ILなどの炎症物質生じる→熱発、ショックリスクになる 1Lあたりヘパリン500単位注入すると一次膜の目詰まりリスクが下がる。 透析トップページ MEトップページ

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