オペ室使用薬剤

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手術室等で使用する薬剤の薬理と
投与量、禁忌、有害事象
  1. オペ室での使用薬剤
  2. 輸液
    1. 輸液の特徴
    2. 組成
    3. 副作用
    4. 禁忌(ヘスパンダー)
  3. 鎮静薬
    1. プロポフォール
      1. 適応
      2. 作用機序・薬理学
      3. 実際の使用方法
      4. 副作用
      5. 禁忌
    2. ミダゾラム
      1. 適応
      2. 作用機序・薬理学
      3. 実際の使用方法
      4. 副作用
      5. 禁忌
    3. チアミラール
      1. 適応
      2. 作用機序・薬理学
      3. 実際の使用方法
      4. 副作用
      5. 禁忌
    4. レミマゾラム
      1. 適応
      2. 作用機序・薬理学
      3. 実際の使用方法
      4. 副作用
      5. 禁忌
  4. 鎮痛薬
    1. フェンタニル
      1. 適応
      2. 作用機序・薬理学
      3. 実際の使用方法
      4. 副作用
      5. 禁忌
    2. レミフェンタニル
      1. 適応
      2. 作用機序・薬理学
      3. 実際の使用方法
      4. 副作用
      5. 禁忌
    3. アセトアミノフェン
      1. 適応
      2. 作用機序・薬理学
      3. 実際の使用方法
      4. 副作用
      5. 禁忌
    4. フルルビプロフェンアキセチル
      1. 適応
      2. 作用機序・薬理学
      3. 実際の使用方法
      4. 副作用
      5. 禁忌
  5. 筋弛緩薬
    1. ロクロニウム
      1. 適応
      2. 作用機序・薬理学
      3. 実際の使用方法
      4. 副作用
      5. 禁忌
  6. 昇圧薬
    1. エフェドリン
      1. 適応
      2. 作用機序・薬理学
      3. 実際の使用方法
      4. 副作用
      5. 禁忌
    2. フェニレフリン
      1. 適応
      2. 作用機序・薬理学
      3. 実際の使用方法
      4. 副作用
      5. 禁忌
    3. カテコラミン類
      1. 適応
      2. 作用機序・薬理学
      3. カテコラミン一覧とその作用
      4. 実際の使用方法
      5. 副作用
      6. 禁忌
    4. バソプレシン
      1. 適応
      2. 作用機序・薬理学
      3. 実際の使用方法
      4. 副作用
      5. 禁忌
  7. 降圧薬
    1. ニカルジピン
      1. 適応
      2. 作用機序・薬理学
      3. 実際の使用方法
      4. 副作用
      5. 禁忌
  8. その他
    1. ランジオロール
      1. 適応
      2. 作用機序・薬理学
      3. 実際の使用方法
      4. 副作用
      5. 禁忌
    2. 硫酸アトロピン
      1. 適応
      2. 作用機序・薬理学
      3. 実際の使用方法
      4. 副作用
      5. 禁忌
    3. アミオダロン
      1. 適応
      2. 作用機序・薬理学
      3. 実際の使用方法
      4. 副作用
      5. 禁忌
    4. マンニトール
      1. 適応
      2. 作用機序・薬理学
      3. 実際の使用方法
      4. 副作用
      5. 禁忌
    5. 重炭酸ナトリウム
      1. 適応
      2. 作用機序・薬理学
      3. 実際の使用方法
      4. 副作用
      5. 禁忌
    6. メトクロプラミド
      1. 適応
      2. 作用機序・薬理学
      3. 実際の使用方法
      4. 副作用
      5. 禁忌

オペ室での使用薬剤

輸液
• 輸液
鎮静薬
• プロポフォール
• ミダゾラム
• チアミラール
• レミマゾラム
鎮痛薬
• フェンタニル
• レミフェンタニル
• アセトアミノフェン
• フルルビプロフェン
筋弛緩薬
• ロクロニウム
昇圧薬
・エフェドリン
・フェニレフリン
・カテコラミン
・バソプレシン
昇圧薬
・エフェドリン
・フェニレフリン
・カテコラミン
・バソプレシン
降圧薬
• ニカルジピン
その他
• ロクロニウム
• ランジオロール
• 硫酸アトロピン
• アミオダロン
• マンニトール
• 重炭酸ナトリウム
• メトクロプラミド

輸液

・静脈路確保時に使用される輸液には1号液ー4号液、生理食塩水、 電解質液、膠質液と様々なものが存在する
・ 輸液自体も薬剤の投与であるため、副作用に注意が必要である

輸液の特徴


• 生理食塩水:ヒトの血液、組織液とほぼ浸透圧が等しい。塩分濃度は0.9%である。 緩衝剤を含まないため、アシドーシスに注意が必要である
• バランス輸液製剤(リンゲル液):Na、Cl濃度を低くし、CaやMgイオンと乳酸などの 陰イオンを含めた製剤。一般的に晶質液と呼ばれ、手術室やICUで最も使用頻度が高い
• 膠質液:人工コロイドを含む製剤で高い浸透圧により同量の晶質液よりも循環血症量 増加が多いと考えられてきたものの、近年の研究ではその有効性が疑問視されている。
• 1号液-4号液:生理食塩水と5%ブドウ糖液を混合したもので浸透圧が低い。

組成

NaClKCaMg緩衝剤ブドウ糖
生理食塩水154154
維持液ソリタT1(1号)9070乳酸:202.6%
KN3号(3号)505020乳酸:202.7%
晶質液フィジオ140140115432酢酸等:341%
ソルアセト13110943酢酸:28
ビカーボン135113431重炭酸等: 30
膠質液ボルベン154154
ヘスパンダー1069242.7乳酸:201%

副作用

• 輸液といえども副作用がないわけではない(製剤の選択を含めて十分な検討が必要)
• 生理食塩水は高Cl性アシドーシスに注意する
• Mgを含むいくつかの製剤は甲状腺機能低下患者では添付文書上、禁忌である
• 心不全などにより溢水の可能性がある場合は、輸液量について十分計画を立てる
• 人工膠質液は第一選択になる病態が存在しない。使用はメリット・デメリットを十分考慮する

禁忌(ヘスパンダー)

• うっ血性心不全のある患者
• 乏尿等を伴う腎障害又は脱水状態のある患者
• 本剤及び本剤の成分に対し発疹等過敏症の既往歴のある患者

鎮静薬

プロポフォール

(主な商品名:プロポフォール®, ディプリバン®)
・ 全身麻酔の導入で最も使用頻度が高い薬
・ 導入後の麻酔維持でも使用可能
・ 麻酔維持を本薬で行う場合は麻酔深度のモニタリングが重要

適応


• 全身麻酔の導入及び維持
• 集中治療における人工呼吸中の鎮静

作用機序・薬理学


• GABAA受容体を賦活化しイオンチャネルを開口させ、クロールイオンの 細胞内流入を促進し、鎮静効果を発揮する。
• 作用持続時間は短く、分布半減期は2-8分である。 • 肝臓で大部分が代謝される。

実際の使用方法


• プロポフォールは10mg/mLに調製されている。(麻酔導入での使用)
• 全身麻酔の導入で使用する場合は2mg/kg(50kgの成人で100mg)を静脈投与する。
• 静脈投与後2-3分で入眠が得られる。
• 導入量を投与した場合は自発呼吸が消失する可能性が高いのでマスク換気を実施する
• 他の薬(吸入麻酔薬、フェンタニル、レミフェンタニル)と併用で導入する場合は減量を考慮
• 4-6mg/kg/hr (50kgの成人で200mg-300mg/hr)で持続静注する。
• プロポフォールによる鎮静は個人差があるため麻酔深度のモニタリングを行いながら適宜、増量、減量を行う。
• Bispectural Index (BIS)値は麻酔深度モニターとして頻用されている

副作用


• 低血圧
• 呼吸抑制
• アナフィラキシー
• 気管支痙攣
• 重篤な徐脈、不全収縮

禁忌


• プロポフォールもしくはその成分に対し過敏症の既往歴のある患者
• 小児集中治療における人工呼吸中の鎮静

ミダゾラム

(主な商品名:ミダゾラム®, ドルミカム®)
・ 全身麻酔の導入や集中治療室での鎮静に用いられる
・ 抗痙攣作用があり、てんかん重積発作にも用いられる

適応


• 麻酔前投薬
• 全身麻酔の導入及び維持
• 集中治療における人工呼吸中の鎮静
• 歯科・口腔外科領域における手術及び処置時の鎮静

作用機序・薬理学

• 中枢神経系のベンゾジアゼピン受容体に結合することによりGABA 受容体と相互作用し、イオンチャネルを開口させることにより鎮静作用を発揮する。
• 消失半減期はは1.8-6.4時間と他の麻酔導入薬に比較して長い
• 肝臓で大部分が代謝される。

実際の使用方法


<麻酔導入での使用>
• 成人では0.1-0.3mg/kg, 小児では0.15mg/kgを緩徐に投与する。
• 50kgの成人の場合は5-10mg, すなわち0.5A-1A用いる
• 他の薬(吸入麻酔薬、フェンタニル、レミフェンタニル)と併用で導入する場合は減量を考慮

<ICUでの持続鎮静での使用>
• 0.03-0.18mg/kg/hrで持続静注する
• 50kgの成人での持続静注は希釈せずに原液で1mL/hr程度で開始する
(0.1mg/kg/hr)
• 挿管されていない患者における鎮静として使用する場合は、麻酔科専門医などによる連続的な看視が必須であり、他職種による調整は推奨されない。

<痙攣発作時の対応>
• 痙攣発作時には0.15-0.3mg/kg静脈内投与する。
• 50kgの成人には1A投与する。
• 場合により気道確保が必要となるので、呼吸状態に注意する

副作用

臨床的に一般的に認めるもの稀であるが重篤であるもの
• 低血圧
• 呼吸抑制
• 舌根沈下
• 嘔気・嘔吐
• アナフィラキシー
• 依存性(連用による)
• 重篤な徐脈、不全収縮
• 心停止、心室頻拍

投与量の急激な減少ないし中止により,痙攣発作,譫妄,振戦,不眠,不安, 幻覚,妄想,不随意運動などの離脱症状があらわれることがあるので,投与を中止する場合には,徐々に減量するなど慎重に行う. 特に小児における集中治療での持続投与時は注意が必要である。

禁忌

• 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
• 急性閉塞隅角緑内障の患者
• 重症筋無力症のある患者
• HIVプロテアーゼ阻害剤を投与中の患者
• ショックの患者、昏睡の患者、バイタルサインの抑制がみられる急性 アルコール中毒の患者

チアミラール

(主な商品名:イソゾール® )
・超短時間作用型の鎮静薬 
・麻酔導入のほか、ICUにおける脳保護療法や抗痙攣薬としても使用

適応

・超短時間作用型の鎮静薬 ・麻酔導入のほか、ICUにおける脳保護療法や抗痙攣薬としても使用
• 全身麻酔の導入
• 精神神経科における電撃療法の際の麻酔
• 局所麻酔剤中毒・破傷風・子癇等に伴う痙攣

作用機序・薬理学

• 超短時間型のバルビツレートであり,脳のGABA受容体複合体に作用して,GABAの作用を増強する
• 作用持続時間は10分ほどで半減期は約4分と短いが、繰り返し投与や持続投与で半減期が延長する
• Context Sensitive Half Time (CSHT)は持続静注した場合に血中濃度が半減するまでの時間であるが、イソゾールはCSHTが延長する。そのため、持続静注した場合、 覚醒するまでの時間が延長する。

実際の使用方法

• イソゾールは1A、500mg製剤が一般的である。添付の蒸留水20mLで溶解し25mg/mLで使用する。
• 麻酔導入で使用する場合は3-5mg/kgで用いる(50kgの成人の場合は250mg (10mL)程度)
• 麻酔維持では一般的に使用しないため、吸入麻酔を開始するなどして麻酔深度を維持する
必要がある。
• 小児でも麻酔導入に安全に使用可能である。投与量は5mg/kgと成人と同量で可能である
• 脳保護目的でICUで使用する場合は3-5mg/kg/hrで持続静注する。
• 持続静注を中断してもしばしば1日程度、覚醒しないことがあるので、留意する。
• 溶解時の液性がpH 10.2~11.2と高く(アルカリ性)血管外漏出した場合に組織の壊死を
起こすので注意が必要である。

副作用



臨床的に一般的に認めるもの
• 呼吸抑制
• 循環抑制
• 吃逆、喉頭痙攣、気管支痙攣
稀であるが重篤であるもの
• ショック、アナフィラキシー

禁忌


• ショック又は大出血による循環不全、重症心不全のある患者 • 急性間歇性ポルフィリン症の患者
• アジソン病の患者
• 重症気管支喘息の患者
• バルビツール酸系薬物に対する過敏症の患者

レミマゾラム

(主な商品名:アネレム® )
・全身麻酔の導入及び維持に使用されるベンゾジアゼピン系の新薬である
・半減期が極めて短い 
・2021年現在、ICUでの適応はない
適応
• 全身麻酔の導入及び維持

適応


• 全身麻酔の導入及び維持

作用機序・薬理学

• レミマゾラムは、 GABAA受容体のベンゾジアゼピン結合部位を介して、主要な抑制性神経伝達物質であるGABAのGABAA受容体への結合を促進させることで 鎮静作用を示すと考えられる
• 主に肝臓のカルボキシルエステラーゼによって速やかに加水分解され代謝される
• 消失相血中半減期は 39 ~ 53 分である

実際の使用方法


• 通常、成人には、レミマゾラムとして12mg/kg/時の速度で、患者の全身状態を 観察しながら、意識消失が得られるまで静脈内へ持続注入する。
• プロポフォールやイソゾールに比較して血圧低下など循環抑制が軽度である。
• 麻酔維持で使用する場合は、レミマゾラムとして1mg/kg/時の速度で静脈内への持続注入を開始し、適切な麻酔深度が維持できるよう患者の全身状態を観察しながら、投与速度を適宜調節する。
• 添付文書上、上限は2mg/kg/時である。

副作用

臨床的に一般的に認めるもの稀であるが重篤であるもの
• 呼吸抑制
• 徐脈
• 低血圧
• 覚醒遅延
• ショック、アナフィラキシー
• 依存性:連用により、薬物依存を生じることがある。

禁忌

• 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
• 急性閉塞隅角緑内障の患者
• 重症筋無力症の患者
• ショックの患者、昏睡の患者、バイタルサインの抑制がみられる急性アルコール中毒の患者

鎮痛薬

フェンタニル

(主な商品名: フェンタニル® )
キーポイント
・麻酔中、術後、その他の疼痛に対して幅広く使用されるオピオイド(麻薬)である
・呼吸抑制などに注意する

適応

• 全身麻酔
• 全身麻酔における鎮痛
• 術後疼痛の鎮痛
• 激しい疼痛の鎮痛
• 癌性疼痛の鎮痛
• 局所麻酔の鎮痛の補助

作用機序・薬理学

• 脳内および脊髄のオピオイド受容体に結合し鎮痛作用を発揮する。
• 作用発現は数分で、作用持続時間は30分から1時間である。繰り返し投与で作用時間が延長する
• 術後鎮痛に必要なフェンタニル濃度は0.6-3ng/mLである。
• 大部分が肝臓で代謝され不活化される

実際の使用方法

<手術麻酔の導入および維持>
• 間欠投与:0.5~1mL(25~50μg)ずつ静注する
• 持続投与:0.01~0.1mL/kg/hr(0.5~5μg/kg/hr)の速さで点滴静注する

<局所麻酔における鎮痛の補助>
フェンタニルを1~3μg/kgを静注する

<静脈内投与の場合>
術後疼痛に用いる場合は、0.5~1μg/kg/hrをシリンジポンプ、IV-PCAキットな どを用いて投与する

副作用

臨床的に一般的に認めるもの稀であるが重篤であるもの
• そう痒、発疹、紅斑
• 低血圧
• 徐脈
• ショック 、 アナフィラキシー
• 心停止
• 視力障害
• 多幸症
• 過敏症

禁忌


筋弛緩剤の使用が禁忌の患者。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。 頭部外傷による昏睡状態、脳腫瘍による昏睡状態等のような呼吸抑制を起こしやすい患者 喘息患者 ナルメフェン塩酸塩水和物投与中又はナルメフェン塩酸塩水和物投与中止後1週間以内の患者

レミフェンタニル

(主な商品名:アルチバ®, レミフェンタニル®)
・麻酔導入・維持における超短時間作用型オピオイド
・速やかに代謝され効果が喪失するため、他の術後鎮痛薬の併用が必須である。

適応

• 全身麻酔の導入及び維持における鎮痛

作用機序・薬理学

• μオピオイド受容体に対するアゴニストである
• フェンタニルとほぼ、等力価である
• 代謝は血液中・組織内の非特異的エステラーゼにより速やかに行われる • 代謝半減期は2-8分と極めて短い

実際の使用方法


• 1V 2mg製剤と5mg製剤がある。
• 一般的に0.1mg/mLとなるように20mLないし50mLの生理食塩水で溶解する。
• 麻酔導入時に使用する場合は0.5μg/kg/min – 1.0μg/kg/minで、手術中の麻酔 維持では0.1-1.0μg/kg/minで持続静注する。
• 50kgの成人の場合、0.1μg/kg/minは3mL/hrである
• 交感神経系の抑制による血圧低下が起こるため、血圧を含む循環の看視が必須で ある。

副作用

臨床的に一般的に認めるもの稀であるが重篤であるもの

• 低血圧
• 徐脈
• アナフィラキシー • 筋硬直
• 換気困難
• 不全収縮・心停止

禁忌

本剤の成分又はフェンタニル系化合物に対し過敏症の既往歴のある患者 ナルメフェン塩酸塩を投与中の患者又は投与中止後1週間以内の患者

アセトアミノフェン

(主な商品名:アセリオ®)
・手術室・集中治療室を含む、経口製剤及び坐剤の投与が困難な場合における疼痛及び発熱に適応
・NSAIDSと異なり抗炎症作用はほとんどない

適応


• 経口製剤及び坐剤の投与が困難な場合における疼痛及び発熱

作用機序・薬理学

• 作用機序は、中枢神経におけるCOX阻害と考えられているが詳細な機序は不明
• 排泄半減期はは2-4時間
• 肝臓でグルクロン酸抱合を受け代謝される

実際の使用方法

• アセリオバッグは100mLあたりアセトアミノフェンが1000mg入っている
• 成人における術後鎮痛:アセトアミノフェンとして、1回300~1000mg(30mLから100mL)を15分かけて静脈内投与する。正常体重の健常者には100mL投与可能であるが、体重に応じて適宜増減する。
• 投与間隔は4~6時間以上とする
• 術後も頻用される薬であるため、投与間隔に注意が必要である。
• 成人の場合、1日総量として4000mgを限度とする

副作用

臨床的に一般的に認めるもの稀であるが重篤であるもの
• 臨床的に問題となる副作用は少なく 安全性の高い薬である
• 悪心・嘔吐(1%程度)
• アナフィラキシー
• 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN),皮膚粘膜眼症候群 (Stevens-Johnson症候群),急性汎発性 発疹性膿疱症
• 喘息発作の誘発

禁忌

• 重篤な肝障害のある患者
• 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
• 消化性潰瘍のある患者
• 重篤な血液の異常のある患者
• 重篤な腎障害のある患者
• 重篤な心機能不全のある患者
• アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤による喘息発作の誘発)
又はその既往歴のある患者

フルルビプロフェンアキセチル


(主な商品名:ロピオン®)
キーポイント ・術後および各種癌における鎮痛目的で使用されるNSAIDS
・手術中の使用は原則、適応外使用となる

適応


• 術後、各種癌における鎮痛

作用機序・薬理学

• 主として肝代謝酵素CYP2C9によって代謝される。
• 消失半減期は5.8時間
• 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)
に分類され、抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用を有する

実際の使用方法

•適応を見極めて使用すれば安全性の高い薬であるものの、アセトアミノフェン製剤に比較して禁忌となる患者や注意を要する症例が存在するため、投与時には適応を確認することが必要である。
•ロピオンは1A = 50mgである。 成人には50mgを緩徐に(1分以上かけて)静脈内投与する
•以前は手術室内で頻用されていたが、近年は保険上、適用外使用として指 摘されるなどしているため、手術室での使用にあたり注意が必要である。
• ICUにおいても各種癌、術後痛に適応がある。
•アセトアミノフェン製剤に比較して、腎機能障害や血小板凝集阻害作用などが臨床的に問題となりやすいため、使用にあたっては注意が必要である。

副作用

臨床的に一般的に認めるもの稀であるが重篤であるもの
• 腎機能悪化• ショック、アナフィラキシー
• 急性腎障害、ネフローゼ症候群
• 消化管出血
• 痙攣
• 喘息発作
• 中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、剥脱性皮膚炎

禁忌


• 消化性潰瘍のある患者
• 重篤な血液の異常のある患者
• 重篤な肝障害のある患者
• 重篤な腎障害のある患者
• 重篤な心機能不全のある患者
• 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
• アスピリン喘息
• エノキサシン水和物、ロメフロキサシン、ノルフロキサシン、プルリフロキサシンを投与中の患者
• 重篤な高血圧症のある患者
• 妊娠後期の女性

筋弛緩薬

ロクロニウム

(主な商品名:エスラックス® )
キーポイント
・手術室で最も使用頻度が高い非脱分極性筋弛緩薬 ・ 使用にあたり人工呼吸が必須である
・ スガマデクスにより拮抗可能

適応

• 麻酔時の筋弛緩
• 気管挿管時の筋弛緩

作用機序・薬理学

• アセチルコリン受容体に結合することにより、神経筋接合部での アセチルコリンの作用を阻害し筋収縮を阻害する
• 半減期は投与量に依存するが、48-76分である • 肝臓により代謝される

実際の使用方法


• エスラックスは50mg (5mL)のバイアルと25mg (2.5mL)のバイアルが存在する。
• 通常、成人には希釈せずに使用する
• 麻酔導入における挿管時は0.6mg-0.9mg/kgを単回投与する。
• 術中追加投与が必要な場合は0.1~0.2mg/kgを追加投与する。
• 持続注入により投与する場合は、7μg/kg/分の投与速度で持続注入を開始する。
• 筋弛緩モニターによるモニタリングが推奨される
• スガマデクス(ブリディオン®)により拮抗可能である

副作用

臨床的に一般的に認めるもの稀であるが重篤であるもの
• 投与後の発赤・発疹• ショック、アナフィラキシー
• 遷延性呼吸抑制
• 横紋筋融解症
• 気管支痙攣

禁忌

• 本剤の成分又は臭化物に対して過敏症の既往歴のある患者
• 重症筋無力症、筋無力症候群の患者のうち、スガマデクスナトリウムに対して過敏症の患者

昇圧薬

エフェドリン

(主な商品名:エフェドリン )
・交感神経β刺激薬で昇圧作用、心拍数上昇作用がある
・通常は静脈内単回投与により使用される
・手術室における低血圧時に頻用される

適応

• 気管支喘息,喘息性(様)気管支炎,感冒,急性気管支炎,慢性気管支炎, 肺結核,上気道炎に伴う咳嗽
• 鼻粘膜の充血、腫脹
• 麻酔時の血圧降下

作用機序・薬理学

・交感神経β刺激作用により心拍数上昇、心収縮力増強作用により血圧を上昇させる
・肝臓において脱メチル化を受け、ノルエフェドリンを経てヒドロキシノルエフェドリンに代謝される

実際の使用方法

・1アンプル (1mL)あたり40mgのエフェドリンが含まれる。
・通常1Aを合計10mL (4mg/mL) もしくは8mL (5mg/mL)になるように 生理食塩水などにより希釈する
・術中などの低血圧に対して、4-8mg静脈内投与する
・一般的に単回静脈内投与で使用することが多く、持続投与には不向き である
・本剤の昇圧効果は一時的であるため、血圧維持には別の持続静注薬を用いる、麻酔深度を調整するなどにより調整を行う。

副作用

臨床的に一般的に認めるもの稀であるが重篤であるもの
• 心悸亢進
• 血圧上昇
• 口渇
• 心室細動、心室頻拍、冠攣縮等
• 重篤な血清カリウム値の低下
• 心電図異常
• 悪心・嘔吐、食欲不振

禁忌

カテコールアミン(アドレナリン、イソプロテレノール、ドパミン等)を投与中の患者

フェニレフリン

(主な商品名:ネオシネジン )
・α刺激作用により血管を収縮させ血圧を上昇させる
・後負荷が上昇する
・循環動態や生体内のボリュームによっては心拍出量が上昇する

適応

• 各種疾患若しくは状態に伴う急性低血圧又はショック時の補助治療
• 発作性上室頻拍
• 局所麻酔時の作用延長

作用機序・薬理学

• 交感神経α受容体を刺激し、血管を収縮させることにより血圧を上昇させる
• 静注した場合の作用時間は5-10分とカテコラミンよりは長い
• モノアミン酸化酵素(MAO)によって代謝される

実際の使用方法

• 1mg = 1mL = 1A製剤が一般的である
• 1Aを生理食塩水で希釈し合計10mLとし0.5– 1mL (0.05 – 0.1mg)ずつ単回投与する
• 持続静注で用いる場合、0.5 – 2mg /hr前後で投与することが 一般的である。
• 単回投与の場合、反射性徐脈に注意する
• 急性心不全などにより心機能が低下している場合、急激な後負荷上昇により血行動態が破綻する可能性があるので、十分注意する。

副作用

臨床的に一般的に認めるもの稀であるが重篤であるもの
• 反射性徐脈• 頭痛
• 手足のしびれ感・ふるえ感
• 紅疹

禁忌

• 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

カテコラミン類

・臨床的に使用されるカテコラミン類としてはドーパミン、ドブタミン、ノルアドレナリン、アドレナリンが存在する急性循環不全で使用されるほか、蘇生時やアナフィラキシーなどの緊急時にも使用される

適応

• 急性循環不全(共通)
• 心エコー図検査における負荷(ドブタミン)
• 各種疾患若しくは状態に伴う急性低血圧又はショック時の補助治療(ノルアドレナリン)
• 急性低血圧又はショック時の補助治療、 心停止の補助治療(アドレナリン)
• 局所麻酔薬の作用延長、手術時の局所出血の予防と治療 、虹彩毛様体炎時における虹彩癒着の防止

作用機序・薬理学

• 副腎や交感神経・脳細胞から分泌されるホルモンの合成薬。
• 交感神経α受容体、β受容体に作用することにより各臓器に効果を及ぼす
• ドーパミンはさらにD(ドーパミン)受容体にも作用する

カテコラミン一覧とその作用

投与量 (γ)αβ1β2D心収縮力心拍数血圧腎血流・
腸管血流
ドーパミン1-3+
3-10
10-
ドブタミン1-10↑↑
ノルアドレナリン0.02-0.2↑↑
アドレナリン0.02-0.2↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑

実際の使用方法

<ドーパミン・ドブタミン>
• 急性循環不全において低容量(2-3γ程度)から持続静注を行う
• プレフィルドシリンジ、希釈して使用するアンプル製剤、バッグ製剤など様々な製剤が存在し、濃度も異なるため、投与量には十分留意する。
• 一例として、イノバン注0.3%シリンジの場合は50mL中150mgのドーパミンを含有する。
• 50kgの体重で3γ投与する場合は、流量は2mL/hrである。

<ノルアドレナリン・アドレナリン>
• 一般的に1A = 1mL (1mg/mL)製剤である。
• 5A + 45ml生理食塩水で希釈 (10倍希釈)して使用するか、3A + 47mLとする。
• 前者の場合、1ml/hr前後で静注すると、50kgの体重の場合、33/1000γ程度である。
• 蘇生としてアドレナリンを使用する場合はACLSガイドラインに従い投与する。
• 心停止時はCPRを継続しつつアドレナリンを3-5分毎に1mg投与する

副作用

臨床的に一般的に認めるもの稀であるが重篤であるもの
• 不整脈(心室性期外収縮、心房細動、 心室性頻拍等)
• 頻脈
• 麻痺性イレウス
• 末梢の虚血
• 静脈炎、注射部位の変性壊死、起毛
• 嘔気、嘔吐、腹部膨満、腹痛• 頭痛

禁忌

• 褐色細胞腫のある患者(ドーパミン)
• ブチロフェノン系・フェノチアジン系等の抗精神病薬,α遮断薬, イソプレナリン塩酸塩等のカテコールアミン製剤,アドレナリン作動薬使用中の患者(アドレナリン)
• 狭隅角や前房が浅いなどの眼圧上昇の素因のある患者(アドレナリン)
• ハロゲン含有吸入麻酔剤投与中の患者 (ノルアドレナリン)
• 他のカテコールアミン製剤投与中の患者(ノルアドレナリン)
• 肥大型閉塞性心筋症の患者(ドブタミン)
• ドブタミン塩酸塩に対し過敏症の既往歴のある患者(ドブタミン)

バソプレシン

(主な商品名:ピトレシン )
・カテコラミン抵抗性の低血圧に対して使用されるホルモン製剤
・強力な血管収縮作用があるため、臓器虚血に注意が必要である

適応

• 下垂体性尿崩症
• 下垂体性又は腎性尿崩症の鑑別診断
• 腸内ガスの除去 (鼓腸、胆のう撮影の前処置、腎盂撮影の前処置) • 食道静脈瘤出血の緊急処置

作用機序・薬理学

• バソプレシン受容体にはV1およびV2が存在し、V1は血管収縮作用、V2は 抗利尿作用がある
• 低容量では抗利尿作用がメインであるが、高容量で使用すると血管収縮による血圧上昇が得られる
• 消失半減期は10-20分である

実際の使用方法

• ピトレシン®は1A 1mL中にバソプレシンを20単位が含まれている。
• 一般的にピトレシン1mL + 生理食塩水19mLで合計20mLとし1単位/mLと希釈して使用する

<敗血症性ショックなどにおける集中治療室での昇圧目的>
• 1-2単位/hr ( 0.01-0.03U/min)の範囲で持続静注する
• 臓器虚血との関連性が指摘されているので、乳酸値などをモニタリングする

<心停止時の蘇生薬としての使用>
• バソプレシン40単位(2A)を静脈内投与する
• ただし、アドレナリンに対する有用性は示されていないため、適応を見極めて使用する必要がある

副作用

臨床的に一般的に認めるもの稀であるが重篤であるもの
• 水中毒、無尿• ショック
• 横紋筋融解症
• 心不全、心停止
• 精神錯乱、昏睡
• 中枢性神経障害
• 心室頻拍

禁忌

• 本剤の成分に対しアナフィラキシー又は過敏症の既往歴のある患者
• 冠動脈硬化症(心筋梗塞症、狭心症等)の患者
• 急速な細胞外水分の増加が危険となるような病態のある患者
• 血中窒素貯留のある慢性腎炎の患者

降圧薬

ニカルジピン

(主な商品名:ペルジピン、ニカルピン )
・カルシウム拮抗薬に分類される降圧薬
・緊急時の降圧剤として静脈内単回投与ないし、持続静注で用いる
・反射性頻脈に注意する

適応

• 手術時の異常高血圧の救急処置。
• 高血圧性緊急症
• 急性心不全(慢性心不全の急性増悪を含む)

作用機序・薬理学

• 血管平滑筋におけるCaチャネルを遮断することにより血管を拡張させ降圧作用を発揮する
• 肝臓のCYP3A4で主に代謝される
• 効果発現までの時間は1分程度

実際の使用方法

• 1A 10mLあたり10mgの製剤が一般的である
• 単回静脈内投与する場合、0.5 – 1mgを目安に投与する(0.5 – 1mL)
• 持続静注を実施する場合は1 – 5mg/hrの範囲で調整を行う
• 反射性頻脈を生じるため頻脈や頻脈性不整脈を有する患者に使用する場合注意が必要である

副作用

臨床的に一般的に認めるもの稀であるが重篤であるもの
• 反射性頻脈• 麻痺性イレウス
• 低酸素血症
• 肺水腫
• 狭心痛
• 血小板減少
• 肝機能障害、黄疸

禁忌

• 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
• 急性心不全において、高度な大動脈弁狭窄・僧帽弁狭窄、肥大型閉塞性心筋症、低血圧、心原性ショックのある患者
• 急性心不全において、発症直後で病態が安定していない重篤な急性心筋梗塞患者

その他

ランジオロール

(主な商品名:オノアクト )
・ β1選択性が高いβ遮断薬である
・ 頻脈性不整脈や同調律頻脈の改善に用いられる
・ 単回投与、持続静注両方で用いられる

適応

• 手術時の心房細動、心房粗動、洞性頻脈に対する緊急処置
• 手術後の循環動態監視下における心房細動、心房粗動、洞性頻脈に対する緊急処置
• 心機能低下例における心房細動、心房粗動
• 生命に危険のある心室細動、血行動態不安定な心室頻拍で難治性かつ緊急を要する場合
• 敗血症に伴う心房細動、心房粗動、洞性頻脈

作用機序・薬理学

• 交感神経の中でもβ1選択性が高いβ遮断薬
• 血中および肝臓中のエステラーゼを介して、速やかに非活性体に代謝される
• 半減期は約4分と非常に短い

実際の使用方法

• 持続静注で使用する場合は0.5μ/kg/min程度から開始し、適宜5-8γまで増量する。
• 1V 50mg製剤と1V 250mg製剤が出ている。
• 50mg製剤の場合は生理食塩水10mLに溶解し使用する。
• 単回投与の場合は、5mg (1mL)単回投与する。
• 作用時間は短時間であるものの、低血圧や血行動態の変化を看視する。
• 不整脈に対して使用する場合はPSVT, 心房細動などが適応となる。

副作用

臨床的に一般的に認めるもの稀であるが重篤であるもの
• 低血圧• ショック
• 心停止
• 完全房室ブロック
• 洞停止
• 高度徐脈
• 心不全

禁忌

• 心原性ショックの患者
• 糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者
• 房室ブロック(II度以上)、洞不全症候群など徐脈性不整脈患者 • 肺高血圧症による右心不全のある患者
• 未治療の褐色細胞腫の患者
• 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
• うっ血性心不全のある患者

硫酸アトロピン

(主な商品名:アトロピン )
・副交感神経遮断作用により頻脈になる
・術中の徐脈に対して使用する他、完全房室ブロックなど徐脈性不整脈でも適応がある

適応

• 胃・十二指腸潰瘍における分泌並びに運動亢進,胃腸の痙攣性疼痛, 痙攣性便秘
• 胆管・尿管の疝痛
• 有機燐系殺虫剤・副交感神経興奮剤の中毒
• 迷走神経性徐脈及び迷走神経性房室伝導障害
• 麻酔前投薬
• その他の徐脈及び房室伝導障害
• ECTの前投与

作用機序・薬理学

• アセチルコリンの働きを抑える作用(抗コリン作用)により副交感神経を抑制し、交感神経を優位にすることで、心拍数を上昇させる
• 速やかに作用発現が認められる
• 約50%は肝臓で代謝されるが、残りは尿中から未変化体として排泄される

実際の使用方法

• 1A 0.5mg (1mL)である
<術中・ICUなどで徐脈に対して使用する場合>
• 成人の徐脈に対しては0.5A~1Aを静脈内投与する
• 希釈などにより低容量を持続静注すると徐脈になるため持続投与には不向きである

<血行動態が不安定な徐脈に対して使用する場合>
• 完全房室ブロックなどで血行動態が不安定な場合は0.5mg 静注する
• 改善しない場合はACLSガイドラインに準拠し3mg (6A)まで投与可能

副作用

臨床的に一般的に認めるもの稀であるが重篤であるもの
• 頻脈・心気亢進・口渇 • 散瞳
• 頭痛
• 排尿障害
• 腸蠕動運動の減弱 • 興奮・せん妄
• ショック、アナフィラキシー

禁忌

• 閉塞隅角緑内障の患者
• 前立腺肥大による排尿障害のある患者
• 麻痺性イレウスの患者
• 本剤に対し過敏症の既往歴のある患者

アミオダロン

(主な商品名:アンカロン )
・心室細動や血行動態が不安定な心室頻拍に適応のある抗不整脈薬
・催不整脈性があるため、専門医看視の元での使用が原則

適応

• 生命に危険のある下記の不整脈で難治性かつ緊急を要する場合 心室細動、血行動態不安定な心室頻拍
• 電気的除細動抵抗性の心室細動あるいは無脈性心室頻拍による心停止

作用機序・薬理学

• Vaughan Williams分類のクラス3に分類される
• 心筋のカリウムチャネル、ナトリウムチャネル、カルシウムチャネル遮断作用に加え抗アドレナリン作用を有する
• 消失半減期は平均14.6日と非常に長い

実際の使用方法

• 初期急速投与、負荷投与、維持投与の3段階にわけて使用する
• 1A あたり300mg (6mL)含有製剤である

[初期急速投与]
• 125mg (2.5mL)を5%ブドウ糖液100mLに加えて600mL/時の速度で10分間投与
[負荷投与]
• 750mg (15mL)を5%ブドウ糖液500mLに加え33mL/時の速度で6時間投与
[維持投与]
• 負荷投与と同じ組成で17mL/時で投与

副作用

臨床的に一般的に認めるもの稀であるが重篤であるもの
• 既存の不整脈の悪化 • 徐脈
• 血圧低下
• 間質性肺炎
• 肝炎、肝機能障害
• 心停止
• Torsades de pointes

禁忌

• 洞性徐脈
• 洞房ブロック
• 重度電動障害
• 重篤な呼吸不全

マンニトール

(主な商品名:マンニットールS )
・浸透圧利尿効果により尿量が増加する
・術中・術後には脳圧降下及び脳容積の縮小を目的として使用される

適応


• 術中・術後・外傷後及び薬物中毒時の急性腎不全の予防及び治療する場合
• 脳圧降下及び脳容積の縮小を必要とする場合
• 眼内圧降下を必要とする場合

作用機序・薬理学

• 浸透圧利尿のほか、腎血流増加作用がある
• マンニトールは薬理学的に不活性であり細胞膜を通過せず糸球体で濾過され
尿中に排泄される。
• 投与後30分で効果発現し、3-4時間程度持続する

実際の使用方法

• 主な製剤であるマンニットールS製剤 (300mL)にはマンニトール45g、 ソルビトール15gを含有する。
• 添付文書上は体重1kgあたり7~20mLを点滴静注するとされている。
• 一般的に成人の脳外科手術などで脳浮腫の改善目的で使用する場合は1本投与する(50kgで6mL/kg)
• 投与速度は、1本あたり10分以上の時間をかけて投与する。
• 利尿作用により尿量が増加するため、循環血液量の評価と血圧に注意する。

副作用

臨床的に一般的に認めるもの稀であるが重篤であるもの
• 低ナトリウム血症
• 代謝性アシドーシス
• 急性腎不全
• 悪心・嘔吐
• 頭痛・めまい
• 胸部圧迫感

禁忌

• 急性頭蓋内血腫のある患者
• 遺伝性果糖不耐症の患者
• 低張性脱水症の患者

重炭酸ナトリウム

(主な商品名:メイロン )
・アシドーシスの補正や薬物中毒の際の排泄促進のため使用される
・高カリウム血症においてKの細胞内移行目的でも使用される

適応

• アシドーシス
• 薬物中毒の際の排泄促進(ただし、pHの上昇により尿中排泄の促進される薬物に限る)
• 動揺病、メニエール、その他の内耳障害に伴う悪心・嘔吐及びめまい

作用機序・薬理学

• 炭酸水素ナトリウムは体内でナトリウムイオンと重炭酸イオンに乖離する
• 重炭酸イオンは水素イオンと反応し水および二酸化炭素になることによりアシドーシスが補正される

実際の使用方法

• メイロン®には8.4%製剤と7.0%製剤が存在する。
• 投与する製剤がいずれであるかを必ず確認する。
• アシドーシスの補正目的では血液ガス分析などによるBase Excessを用いて投与量を計算する
• 8.4%製剤を用いた場合の必要量は以下の式の通りである。
• 補正必要量(mL)=不足塩基量(Base Deficit mEq/L)×0.2×体重(kg)
• 一例として50kgの成人においてBase Excessが-6.0mEq/Lの場合(BaseDeficit = 6.0)必要量は 6 × 0.2 × 50 = 60mLとなる
• 重炭酸イオンと水素イオンが反応することにより二酸化炭素が生成されるため、人工呼吸器の調整を行うとともに、緩徐に投与する

副作用

臨床的に一般的に認めるもの稀であるが重篤であるもの
• 高Na血症
• 低カリウム血症
• 血管痛
• 血液凝固時間延長
• テタニー
• 発熱、全身冷感
• 貧血
• 悪心
• 徐脈

禁忌

• 添付文書上、記載なし

メトクロプラミド

(主な商品名:エリーテン®, プリンペラン® )
・術後のほか、抗生物質投与時、消化管潰瘍時など様々な状況における嘔気、嘔吐治療薬として用いられる
・ 錐体外路症状など副作用もあるため、適応を見極めて使用する

適応

• 次の場合における消化器機能異常(悪心・嘔吐・食欲不振・腹部膨満感): 胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胆嚢疾患・胆道疾患、腎炎、尿毒症、乳幼児嘔吐、 薬剤投与時(制癌剤投与時・抗生物質投与時・抗結核剤投与時・麻酔剤投与時)、 胃内挿管時・気管内挿管時、放射線照射時、開腹術後。
• X線検査時のバリウムの通過促進。

作用機序・薬理学

• 抗ドーパミン作用を有し消化管運動を促進する
• 肝臓でグルクロン酸抱合を受け代謝される。20%は尿から排泄
• 二相性に消失しβ相における半減期は5.4時間である

実際の使用方法

• 1A注にメトクロプラミドは10mg含まれている。
• 患者の状態を観察しつつ、1A緩徐に静脈内注射する

副作用

臨床的に一般的に認めるもの稀であるが重篤であるもの
• 錐体外路症状
• 不整脈
• ショック 、 アナフィラキシー
• 悪性症候群
• 腎機能低下
• 急性腎不全
• 痙攣

禁忌

• 褐色細胞腫
• 本剤に対する過敏症 • 消化管器質的閉塞
• 消化管出血
• 消化管穿孔
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