透析導入について

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透析導入について

透析導入

腎機能が正常の10-15%以下になると、透析や移植などの腎代替療法(腎臓の機能を代行する治療)が必要です。日本では、「どのような状態になったら透析を始めたほうがいいか」を判定するための「透析導入の基準」(厚生労働省)があります。症状・所見と腎機能・日常生活レベルとの組み合わせで導入時期を考えます。腎機能が正常の15%以上あっても、尿毒症の症状や高カリウム血症、心不全などがあり、適切な治療によって改善しない場合は透析が必要と判断します。 透析導入適応の基準(厚生省科学研究 1992年) 以下の点数の合計が60点以上が透析導入が必要な状態 (1) 症状・所見 水の貯留(むくみ・胸に水が溜まる)
酸塩基電解質異常(高カリウム血症、酸の貯留)
消化管の症状(吐き気・嘔吐・食欲不振)
心臓の症状(呼吸困難・息切れ・心不全・著明な高血圧)
神経の症状(意識混濁・けいれん・しびれ)
血液の異常(貧血・出血が止まりにくい)
目の症状(目がかすむ) このうち3つ以上の症状 = 30点、2つの症状 = 20点、1つの症状 = 10点 (2) 腎機能 持続的に血清Cr8mg/dl以上(あるいはクレアチニンクリアランス10ml/min以下)=30点
血清Cr 5~8mg/dl(Ccr 10~20ml/min未満)=20点
血清Cr 3~5mg/dl 未満(Ccr 20~30ml/min未満)=10点
(3) 日常生活の障害の程度 起床できない高度 = 30点
著しい制限中等度 = 20点
運動・労働が出来ない軽度 = 10点
10歳以下または65歳以上の高齢者または糖尿病、膠原病、動脈硬化疾患など全身性血管合併症の存在する場合は10点を加算する。
小児においては血清Crを用いないでCcrを用いる。

透析導入期における腎機能の評価法

血清クレアチニン単独で評価すべきでなく,血清クレアチニン値を基にした推算式 にて行う.その上で,血清クレアチニンや GFR の経時的変化,患者の体格,年齢,性別,栄養状態などを総合的に判断して,血液透析導入時期の判断をする.
透析導入期の正確な腎機能の評価は,イヌリンクリアランス試験,24 時間蓄尿によ るクレアチニンクリアランス,クレアチニンクリアランスと尿素クリアランスの和(Ccr+Curea)/2 な ど実測法により評価を行うことをすすめる.

透析導入前の診療期間

進行性に腎機能の障害がみられ GFR 15∼30 mL/min/1.73 m2に至った時点で,保存的治療を含めた末期腎不全治療について詳細な説明と腎代替療法に関する情報を提供することをすすめる.
透析導入が必要となる 6 か月以上前より,腎不全症候が出ないように診療を行うことは,透析導入後の生命予後の観点から望ましい

透析導入の準備

透析導入の少なくとも 1 か月以上前のAVF,AVG の作製は,透析導入後の生命予後の観点から望ましい.

血液透析導入のタイミング

透析導入時期の判断は,十分な保存的治療を行っても進行性に腎機能の悪化を認め, GFR<15 mL/min/1.73 m2になった時点で必要性が生じてくる.ただし実際の血液透析の導入は, 腎不全症候,日常生活の活動性,栄養状態を総合的に判断し,それらが透析療法以外に回避できないとき に決定する.
腎不全症候がみられても,GFR<8 mL/min/1.73 m2まで保存的治療での経過観察が 可能であれば,血液透析導入後の生命予後は良好であった.ただし腎不全症候がなくとも,透析後の生 命予後の観点から GFR 2 mL/min/1.73 m2までには血液透析を導入することが望ましい.

小児の慢性血液透析導入

透析導入の準備

GFR が 60 mL/min/1.73 m2前後に低下したら,保存期腎不全治療に精通した小児腎臓専門医へコンサルトすることが望ましい.
GFR が 30 mL/min/1.73 m2前後に低下したら,腎代替療法(RRT)に精通した小児腎臓専門医へコンサルトすることが望ましい.
血液透析を選択した場合は,バスキュラーアクセス(VA)に関わるインフォームド・コンセントを行い,VA の選択と作製時期に関して十分に検討することが望ましい.

透析導入のタイミング 保存的治療に抵抗性の腎不全症候(小児の場合は成長障害も加わる)が出現した場合,透析導入を考慮する.
無症候であっても目安として GFR が 10 mL/min/1.73 m2未満に低下したら,透析導入を考慮する.


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