PMX-DHP(トレミキシン)
PMX-DHPとは【英語】
Polimyxin B immobilized fiber column direct hemoperfusion
【日本語】 ポリミキシンB固定化カラムによる直接血液灌流法
特徴
・ポリミキシンBが固定化されたポリスチレン誘導体繊維を充填した血液浄化器・直接血液灌流法により血液中のエンドトキシンを選択的に吸着除去する
・グラム陰性菌感染症あるいはエンドトキシン血症に伴う全身性炎症反応症候群(SIRS)患者への使用で病態の改善が図れる
目的
• エンドトキシン血症に伴う重症病態あるいはグラム陰性菌感染症によると思われる重症病態の患者に対して、血中エンドトキシンを選択的に吸着除去することによって病態の改善を図る事を目的とする。• 臨床症状としては、血圧、体温、尿量、呼吸 状態の改善が期待される。
適応、診療報酬・材料価格算定
エンドトキシン選択除去用吸着式血液浄化法は、次のアからウのいずれ にも該当する患者に対して行った場合に算定する。ア)エンドトキシン血症であるもの又はグラム陰性菌感染症が疑われる もの
イ)次の(イ)~(ニ)のうち2項目以上を同時に満たすもの
(イ)体温が38度以上又は36度未満
(ロ)心拍数が90回/分以上
(ハ)呼吸数が20回/分以上又はPaCO2が32mmHg未満
(ニ)白血球数が12,000/mm3以上若しくは4,000/mm3未満又は桿状 核好中球が10%以上
ウ)昇圧剤を必要とする敗血症性ショックであるもの(肝障害が重症化 したもの(総ビリルビン10mg/dL以上かつヘパプラスチンテスト 40%以下であるもの)を除く。) • 吸着式血液浄化法を夜間に開始し、午前0時以降に終了した場合は、 1日として算定する。
• 吸着式血液浄化法を夜間に開始した場合とは、午後6時以降に開始 した場合をいい、終了した時間が午前0時以降であっても、1日として 算定する。ただし、夜間に吸着式血液浄化法を開始し、12時間以上継 続して行った場合は、2日として算定する。
• 回路は別に算定できない。
• 吸着式血液浄化用浄化器(エンドトキシン除去用)は2個を限度として算定する。
構造
PMX-DHPカラムは、グラム陰性菌に強い抗菌活性を有し、エンドトキシンに親和性のある抗菌物質「ポリミキシンB」が、ポリスチレン誘導体(クロルアセトアミドメチル化ポリスチレン)繊維に共有結合によって固定化された繊 維が充填されている。
原理
PMX-DHPは、全血を直接血液灌流法によって 吸着カラムを灌流させ、吸着カラム内でグラム陰性菌の細胞壁を構成するリポ多糖(LPS)のリピドAがポリミキシンBのアミノ基とイオン結合するか、もしくはLPSの疎水性部分がポリミキシンBの疎水性鎖と疎水結合することによって、血中エンドトキシンの吸着除去を行う。
ポリミキシンBによる相互作用・副作用
【相互作用】麻酔剤、筋弛緩剤、アミノグリコシド系抗生物質と併用 した場合、クラーレ様作用(神経筋遮断作用)による呼吸抑制があらわれることがある。
【重大な副作用】
ショック、難聴、神経筋遮断作用による呼吸抑制
【その他の副作用】
腎障害、知覚異常、眩暈、頭痛、発熱、嗜眠、運動失調、視覚 障害、発疹、掻痒感、悪心、嘔吐、食欲不振、下痢、蟻走感、 舌・口唇部のしびれ感
準備
PMX-DHPカラム生理食塩液(洗浄用)
PMX-01R…0.5L以上 PMX-05R…2L以上 PMX-20R…4L以上
生理食塩液(充填用)
メシル酸ナファモスタット 20mg/500mL ヘパリン2,000単位/500mL
抗凝固剤…必要量
鉗子…必要量
血液浄化装置(以下の条件を満たすもの) ・血液ポンプ(血液流量仕様5~200mL/min) ・抗凝固剤注入用ポンプ ・入口圧・出口圧モニター
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洗浄・充填
• カラムの充填液は酸性(pHは約2)であり、PMX-20Rは4L 以上、PMX-05Rは2L以上、PMX-01Rは0.5L以上の生理 食塩液等の電解質輸液製剤で洗浄し、生理的条件に戻してから使用すること。(カラム内に溶存するポリミキシンBを 排出させる目的もある)• カラムは垂直に保持し、洗浄液がカラム内を下から上へと流れるように(ラベルに記載された矢印の方向)洗浄すること。
• カラム洗浄後、抗凝固剤を添加した500mLの生理食塩液 または5%ブドウ糖液を用いて置換充填を実施すること。 なお、低体重症例(とくにプライミングボリュームが循環血液量の10%を越えるような症例)においては、患者の体重 や病態に応じて、血液製剤等の使用を含めた適切なプライミング法を選択すること。
施行方法
• 施行方法:直接血液灌流法• 治療時間:原則2時間
• 抗凝固剤
• メシル酸ナファモスタット 持続注入:30~40mg/hr
• ヘパリン ワンショット:40~60単位/kg 持続注入:40~60単位/hr PMX-DHPを行う際のバスキュラ―アク セス部位は、大腿静脈、内頸静脈等の通常の血液浄化療法で用いられる血管とする。
十分な性能を発揮させるため、カラムを垂直(ラベル文字が読める方向)に保持し、血液はカラム内を下から上へ(ラベ ルに記載された矢印の方向)流すように体外循環を行う。
治療の開始
1 脱血側回路と脱血側カテーテルを接続。2 血液ポンプをゆっくり運転し、患者の状態を見ながら回路内 プライミング液を少量追い出し、気泡が混入しないように 返血側回路と返血側カテーテルを接続。
3 血液流量を徐々に上げ、適切な血流量で体外循環を行う。
4 カラム内および回路内での血液凝固を防止する目的で 抗凝固剤を脱血側回路から持続注入で投与する。
5 添付文書上、体外循環時間は原則2時間となっている。
治療中の注意点
1 出血の危険性が高い患者に使用する際には、抗凝固剤の選 択や使用量に十分注意すること。また回路内ACTを適宜測 定するなどして抗凝固剤の投与量を適切に調節すること。2 使用する抗凝固剤の副作用に十分注意し、必要に応じて適切な処置を行うこと。
3 本品の最高使用圧力は66kPa(500mmHg)である。血栓形成等によるカラム内の目詰まりにより、カラム入口と出口の圧力差が大きくなることがあるので注意する。カラム入口圧と返血 圧をモニターし、圧力値を経時的に記録すること。
4 PMX-DHP中に起こり得る有害事象・副作用とその対策を十分に理解し、これらが生じた際には速やかに対処すること。
治療の終了
1 返血時にはカラムを反転し、血液を上から下へと流す。2 返血の際、生理食塩液または5%ブドウ糖液200~300mLを 患者の状態を見ながら低流量で流して、カラム内および血液 回路内の血液を患者へ戻す。 なお、低体重症例など急速返血によって循環血液量過多を誘発するおそれがある症例においては、可能な限り緩徐な血流量で返血操作を行い、必要に応じて血液回路内の血液を血液バッグに回収すること。
3 返血が終了したら血液ポンプを停止して、血液回路とバスキュラ―アクセスカテーテルの接続を外す。
4 終了操作中または終了後に患者の病態が悪化した際には、適切な処置を行うこと。
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参考
トレミキシンとは|トレミキシン
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