血漿吸着療法PA:Plasma Adsorption
血漿分離器で血液を血球と血漿に分離し、さらに分離された病因物質を含む血漿を血漿吸着器に通すことにより、病因物質を除去する治療法。血漿吸着器内の吸着剤の種類により、病因物質の選択的な除去が可能となるため通常補充液は不要
PAの種類
免疫吸着ビリルビン吸着
など
PA使用物品
血漿成分吸着器回路
生理食塩液
抗凝固薬
PAの施行方法
血流速度・血漿分離速度
血流ポンプ流量:50~150mL/min血漿分離ポンプ流量:血液ポンプ流量の30%以下に設定
抗凝固薬
出血傾向がない場合、ヘパリン使用初回投与:1000~3000U
持続:1000~2000U/hr
ACTで管理する
出血傾向がある場合、ナファモスタットを使用20~50mg/hrで持続投与 一回の治療で置換される血漿量 全血漿量~1.5倍の血漿量を置換
血漿量(L)=体重(kg)x1/13x(1-ヘマトクリット/100)
PAの利点
• 疾患に合わせた吸着器を使用することで、特異的に病因物質を除去できる。
• 置換液を使用しないため、感染のリスクが少ない。
• アルブミンを吸着しないため、膠質浸透圧の変化が少ない。
PAの注意点
① 病因物質の物性によるところが大きい。
トリプトファンカラム(TR-350)を用いたPAでのIgG3の被吸着特性は高いが、IgG4では低い。
② 血漿処理量に上限がある。
リポソーバLA-15以外では2~3Lで飽和してしまうので、体格の大きな患者など大量に血漿処理を行
いたい場合に十分な除去が行えない可能性がある。
③ 陰性荷電した吸着カラム(TR-350、LA-15など)により血管拡張作用のあるブラジキニンが誘導される。
④ ACE阻害剤はブラジキニンの代謝を抑制する作用をもちアナフィラキシー様の血圧低下を引き起こす
ため、ACE阻害薬は併用禁忌である。(ARBも避けることが望ましい)
PAが対象となる自己免疫性神経筋疾患
• ギランバレー症候群(GBS)
• 多発性硬化症(MS)
→ TR-350を推奨
• 慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)
→ PH-350を推奨
• 重症筋無力症(MG)
PAが対象となる自己免疫性神経筋疾患
• 抗Ach抗体陽性 → PA(TR-350)を推奨• 抗MuSK抗体陽性 → DFPPを推奨
• TR-350の親和性はIgGのサブクラスによって異なる。
• IgG3を主体とする抗Ach抗体の親和性は高いが、IgG4
を主体とする抗MuSK抗体には親和性が低い
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