透析患者のドライウエイトの決め方

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このページでは、ドライウエイト決め方について紹介します。

ステートメント

・透析患者の体液管理は重要で,最大透析間隔日の体重増加を 6%未満にすることが望ましい.
・平均除水速度は,15 mL/ kg/ 時以下を目指す.
・体重増加の管理には,適正な塩分制限と水分制限を指導する.
・ドライウエイトの適正な設定は,透析患者の QOL と予後を左右する.

ドライウエイト(dry weight:DW)の定義

日本透析医学会の定義

「体液量が適正であり透析中の過度の血圧低下を生ずることなく,かつ長期的にも心血管系への負担が少ない体重」

1967年に提唱した概念(過去の定義)

透析療法によって細胞外液量が是正された時点の体重
・臨床的に浮腫などの溢水所見がない
・透析による除水操作によって最大限に体液量を減少させた時の体重
・それ以上の除水を行えば,低血圧,ショックが必ず起こるような体重
患者に対して,最大限の除水を行って,ショック状態になるのを確認して,その体重を DW として設定する。
これが「真のDW」といえる。

現在の透析は,体外限外濾過法(extracorporeal ultrafiltration methods:ECUM), 血液透析濾過(hemodiafiltration:HDF),長時間透析などさまざまな方法があり,4 時間ではショック状態になるということもあり適切ではない。

ドライウエイトの設定

DW 設定の指標

1透析中の著明な血圧低下がない.
2高血圧がない(おおむね週初めの透析開始時で140/90 mmHg 程度).
3浮腫がない.
4胸部 X 線にて肺鬱血がない.
5心胸郭比が 50%以下(女性では 53%以下).

1透析中の著明な血圧低下がない

透析中の血圧が下がるのは,除水による循環血液量低下による以外に,自律神経機能異常,心機能低下,不整脈,酢酸不耐症があり,これらを除外しなければならない.

2高血圧がない(おおむね週初めの透析開始時で 140/90 mmHg 程度).

ただし,DW を下げてから 血圧が下がるまでにはある程度の時間差(数週間) があること(Lag Phenomenon)を意識し,血圧管理目的に DW を下げる場合には,1 週間に 0.3 kg 程度ずつが望ましい.

3浮腫がない

低アルブミン血症,静脈血栓症など 浮腫を増強する因子を除外しなければならない.

4胸部 X 線にて肺鬱血がない

心機能低下,左心不全では,肺うっ血が持続することがある.

5心胸郭比が 50%以下(女性では 53%以下)

心筋肥大,弁膜症,心機能低下,心臓横位,シャント血流増加,著明な貧血では心胸郭比が必ずしも循環血液量を反映しているとは限らない.心胸郭比の評価は常に時系列で評価しなければならない.

DW記載ガイドライン

DW体重記載は、測定した体重から、衣服と靴を引いた「裸体重」であること




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参考
日本透析医学会 - ガイドライン・提言
日本透析医学会は、腎不全および透析医学の学術・研究を推進させ、社会に貢献します

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