刺激伝導系
心臓は、心房が左右2個、心室が左右2個、4つの部屋からなる血液のポンプこのポンプを働かせるためには、この4つの部屋を制御する装置が必要で、それが刺激伝導系です。 刺激伝導系のスタートになるところが洞結節で、右心房にあります。
ここから電気が作られて心房を収縮させますが、この電気は房室結節、ヒス束を通って心室に伝わります。
この洞結節と房室結節までは自律神経の影響を強く受けます。
一方、このヒス束から下は、自律神経の影響は受けません。
言い換えますと、洞結節や房室結節などは、自立神経のバランスや成⻑過程の未熟さなど機能的なものよっても異常が起こり得るのですが、ヒス束以下の障害というのは、基質的な心疾患がなければ起こらないということになります。
そして、各部分には自動能があります。
洞結節は、大体毎分70回ぐらいで、房室結節とヒス束との接合部に自動能がありますが、房室結節は大体毎分40〜50回、ヒス束は30〜40回です。
そして、ヒス・プルキンエ系、ヒス束より下位の終末部分までの自動能というのは、毎分20〜30 回です。
あるところで障害が起こったときには、それより下位の自動能を持つところが肩代わりをします。
障害が起きるところが下に行けば行くほど、この補充調律の心拍数は少なくなりますし、また、 補充調律が当てにできないというところで高度の心停止を起こしてきます。
ですから、障害部位がどこにあるかが問題となり、具体的には下位に行けば行くほど重篤となります。
房室結節より上の部分は、自立神経の影響を強く受けます。
しかし、何か障害があっても最低限の心拍数は確保できるということで、大きく予後が比較的良好であることが理解できます。 洞結節
↓
洞房結節
↓
ヒス束
↓
右脚左脚
↓
purkinje繊維
↓
心室
和名 | 略語 | 英名 |
洞房結節 | SN もしくは SA node | Sinus Node もしくは Sinoatrial Node |
前結節間路 | ー | Anterior Internodal Tract |
中結節間路 | ー | Middle Internodal Tract |
後結節間路 | ー | Posterior Internodal Tract |
バッハマン束 | ー | Bachmann’s Bundle |
房室結節 | AV Node | Atrioventricular Node |
His束 | HB もしくは AV Bundle | His Bundle もしくは Atrioventricular Bundle |
左脚後枝 | LPF | Left Posterior Fascicle |
左脚前枝 | LAF | FascicleLeft Anterior Fascicle |
左脚 | LBB | Left Bundle Branch |
右脚 | RBB | Right Bundle Branch |
洞結節
刺激伝導系のスタートになるところ洞房結節
・心房と心室が同時に収縮するとこまる ・心房の有害事象が心室に及ぶことを防ぐため 房室結節をゆっくりと伝導する ”減衰伝導”電気の伝導速度は速いです。
そのまま伝導したのでは、心房と心室が同時に収縮をしてしまいます。
どこかで伝導を遅らせる必要があるわけです。
それが房室結節の働きになります。
心房が収縮を完全に終わった後に心室が収縮を始める
もう一つの理由は、例えば心房細動が起こると、心房の中の心拍数というのは 400〜500回になります。
これがそのまま心室に伝わると大変なこと
このような心房の有害事象が、そのまま心室に及ぶことを防ぐ、房室結節の役割になります。
房室結節はゆっくりと伝導する、さらに心房の心拍数が速くなればなるほど伝導しづらくなる、これが「減衰伝導」の特性
His-Purkinje系
心室のそれぞれの部分が同時に収縮しなければ効率が悪いヒス束から下に電気が伝わると、心室のそれぞれの部分が同時に収縮しないと、 ポンプとしての効率は著しく悪くなります。
できるだけ速く、かつ同時に電気興奮を伝える
“All or none”
そのためには、できるだけ速く、かつ同時に電気興奮を伝える必要があります。
そこで、ヒス束より下のヒス・プルキンエ系に関しては、“All or none”、減衰伝導は取らないで、「伝わるか伝わらないか」という伝導様式を取ります。
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ペースメーカの刺激伝導系
参考
https://med.toaeiyo.co.jp/contents/arrhythmia-seminar/sample/mechanism-sample.html
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