穿刺方法

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穿刺について

静脈の構造

静脈は、内膜、中膜、外膜の 3 層構造
内膜は最も内側の壁であり、滑らか で伸縮性のある内皮細胞から構成されている。
中膜は血管層の中間にあり、筋組織と弾性組織により構成されている。
血管収縮・血管拡張を調整する神経線維、筋組織の筋緊張を維持する神経線維も中膜に含まれている。外膜は、血管壁の最も外側にあり、静脈血管を保護する役割を果たしている。
静脈には、半月型の弁である静脈弁が存在する。
静脈弁は対になっており、内膜を構成する単細胞層から成り、血液の逆流を防止する役割をもつ。

シャント肢の観察

問診 視診
シャント肢の比較
発赤、腫脹、チアノーゼの有無
皮下出血、掻破、かぶれ、血腫の有無
シャント血管の走行
前回の穿刺部位 触診
吻合部と血管の走行
拍動とスリル
血管のくぼみや緊張、弾力
熱感、圧痛、排膿の有無
抹消や手指の冷感の有無 聴く
観る
触る 聴く
シャント音異常ないか 観る
血管の走行を確認
穿刺部の周辺兆候(発赤、膨張、傷、かぶれ) 触る
血管の走行、深さ、内腔の大きさ、血管壁の弾力

準備する使用物品

個人防護具(アイシールド/ゴーグル/フェイスシールド・ガウン/エプロン) 
• 手袋(未使用、必要に応じて滅菌済み)
• 血液透析用留置針
• 駆血帯
• 固定用テープ
• 皮膚消毒薬
• ピンセット・綿棒・綿球(消毒剤塗布時に使用する)など
• ガーゼ
• ドレッシング材
• 防水シーツ(清潔保持のために、患者と接する面が内側になるように中表でたたむ) 
• 止血パッド (抜針時)
• 滅菌ディスポーザブルキット
• 針廃棄容器

ワゴン上段・オーバーテーブル などに準備する器材

• 手袋(未使用、必要に応じて滅菌済み)
• 血液透析用留置針
• 駆血帯
• 固定用テープ
• 消毒薬
• 滅菌ディスポーザブルキット
消毒薬、ピンセット・綿棒・綿球、ガーゼ、 ドレッシング材、テープ、防水シーツ等
• 個人防護具

滅菌ディスポーザブルキット、衛生材料、消毒薬(例)

血液透析用留置針

注射針のサイズ(太さ) 注射針のサイズ(太さ)は「ゲージ(G)」という単位で表示しており、ISO6009(国際 標準化機構)規格に準拠した、JIS T3209で定められるカラーコードに統一する事が労厚 生省働告示第112号で告示されている。血液透析用留置針で通常使用される規格を下図に 示す

消毒薬

 消毒とは,対象物から疾患の病原に関連した微生物を除去する処理方法である。
 消毒の効果は消毒薬の種類・濃度・温度・浸漬時間・微生物の種類や汚染の度合 い、被消毒物の洗浄の有無・形状、バイオフィルムの有無などにより異なる。
 消毒薬の分類は、消毒レベルとして高水準・中水準・低水準消毒薬に、消毒の対 象として生体に用いる生体消毒薬、人体には適用しない非生体消毒薬、生体・非 生体の両方に用いる消毒薬などに分類される
 消毒薬は適正に選択し,正しい濃度で最も効果的な方法で使用する。
動脈表在化穿刺に当たって皮膚表面の消毒には生体消毒薬を用いる。

血液透析に用いられる消毒薬の条件

一般的な細菌に有効であり、速効性をもち、かつ持続活性 (透析実施中の3~4時間)を有する
一般的には、0.5%を超えるクロルヘキシジングルコン酸塩含有アルコール、10%ポビドン ヨード、消毒用エタノール、70%イソプロパノールを用いる。患者の皮膚状態等により適切な消毒薬を使用する
対象微生物に対する効果を以下に示す ◯:有効、×:無効
消毒の操作
消毒の際は穿刺部位を中心とし、外側に向けて円を描くように消毒剤を塗布する

上腕動脈表在化血管の穿刺

動脈表在化の定義

慢性血液透析用バスキュラーアクセスの作製および修復に関するガイドライン:動脈表在化
(日本透析医学会 バスキュラーアクセス・ワーキンググループによる)

動脈表在化とは「通常の内シャントが何らか の理由で作製できない症例で選択されるVAである。
表在化された動脈は脱血側に使用し、通常は皮下に存在する表在静脈の穿刺が毎回必要となる。」

適応

1.内シャントによる心負荷に耐えられないと予想される症例、 左室駆出率(EF)が30~40%以下を動脈表在化作製の目安とする。
2.表在静脈の荒廃により内シャント手術が困難な症例 3.吻合する適当な静脈が存在しない症例 4.AVFでスチール症候群が生ずると考えられる症例、もしくは
AVF(AVG)を使用していて、すでにスチール症候群を呈している症例 5.AVFを作製すると静脈高血圧症をきたすと考えられる症例、または
すでに静脈高血圧症をきたしている症例
6.頻回にアクセストラブルを発生する患者のバックアップ
7.透析療法以外でも、長期にわたり血液浄化療法を必要とする、
例えば家族性高脂血症患者などで作製されることがある。

内シャントとの相違


表在化上腕動脈が内シャントと異なる点
• 人工血管内シャント(AVG)同様に分岐する血管がない。
(止血操作などで過度に圧迫すると血液の流れが遮られ、血栓性閉塞を来たす危険性がある。)
• 血流は通常の動脈と同じで後負荷があることから70-100ml/分程度しか流れていない。
• RI≒1.0であり、常時高圧(血圧)がかかっている。
• シャント音しない

表在化動脈の穿刺

• 穿刺開始は十分な組織修復が済んだ後に行うことが重要。
(特に皮下脂肪の厚い症例では脂肪融解が置き動脈が周囲と固着するのに時間要する場合がある。通常2~3週間程度で穿刺可能となることが多い。)
• 穿刺前の消毒はAVGなどと同様、感染回避のためにしっかりと行う。
• 穿刺は表在化全長に渡り広域に穿刺することを心掛ける。
( 同一箇所の繰り返しの穿刺は血管壁の脆弱化を引き起こし仮性瘤形成のリスクが高まる。)
• 脱血に用い、返血は体表静脈に行う。返血血管が無い場合には両腕での表在化も検討する。

表在化動脈の抜針・止血

• RI≒1.0、つまり常時動脈圧がかかっており、穿刺孔を確実に圧迫して止血しないと容易に血腫形成を来たす。
• 一方過度な圧迫は血流停滞を来たし血栓形成のリスクが高まる。
• 止血のガーゼは厚め硬めに折りたたみ使用することで適度に圧が調整しやすい。
• 末梢での動脈触知を行い、抜針後5分くらいは強めに、そこから徐々に止血圧を緩めて15分程度は用手止血が望ましい。
• 皮膚の穿刺孔と血管壁の穿刺孔がづれていることを理解する。

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